陽謀日記

陽謀を明かします

85歳以上がん死急増は見過ごせない~ハライター原のライブ塾・がん統計から重大報告

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左端は2020年、緑棒が75歳以上、青棒が0~74歳

がん治療についての国際比較に最適な資料を探していると、後期高齢者の75歳に区切りを設けていることを知りました。

www.youtube.com

国立研究開発法人国立がん研究センターのホームページで「75歳未満年齢調整死亡率」を解説しています。

https://ganjoho.jp/reg_stat/statistics/stat/age-adjusted.html

75歳未満年齢調整死亡率

20074月、国のがん対策を総合的かつ計画的に推進することを目的として、がん対策基本法が施行されました。2007年6月にはこの法律に基づいて、「がん対策推進基本計画」(第1期)が策定され、全体目標の1つとして「がんによる死亡者の減少」が掲げられました。「75歳未満年齢調整死亡率」は第1期、第2期計画(2012年6月)の評価指標として用いられました。この指標が用いられたのは、年齢調整率を用いることで高齢化の影響を除去し、75歳以上の死亡を除くことで壮年期死亡の減少を高い精度で評価するという理由に基づいています。第3期計画(2018年3月)では評価指標として「75歳未満年齢調整死亡率」は用いられておりませんが、全体目標の1つである「科学的根拠に基づくがん予防・がん検診の充実」に「がんの死亡者の減少」の実現が掲げられています。

がん対策基本法」では、各都道府県が国の「がん対策推進基本計画」を基本として、地域の状況を踏まえて「都道府県がん対策推進計画」を策定することとされています。ここでは、計画策定および評価のための資料として、国および都道府県別の75歳未満年齢調整死亡率のデータを提供します。

※そもそもがんは老化による遺伝子のキズが原因と言われるのに、なぜ後期高齢者の75歳以上を除外する統計を出しているのか。

 

※同じ国立がん研究センターのホームページで死亡数について

「増加している」「原因は高齢化だ」と書いてあります。1965年から2020年までの棒グラフで全体死亡数の急増は明らかです。

しかし、次に「高齢化の影響を除く年齢調整死亡率がよく使われる」と続きます。折れ線グラフを見れば「ほとんど下がってるか、横ばいかあ」という感想を持ちそうです。このグラフを作りたかったからではないかと意地悪に見てみると、そう外れていないような気がします。

  

※同HPにあった部位別に積み上げたがん死亡数データは1965、1975、1985、1995、2005、2015、2020年と基本10年区切りの棒グラフですので、私は、専門家側が便宜的に区切りに使っている「75歳」を境に、0~74歳死亡数と75歳以上死亡数をまとめ直してみました。それが上のグラフです。

 

驚いたことに75歳未満(0歳から74歳)よりも75歳以上(75~79歳、80~84歳、85歳以上)の死亡数の方が多くなってからすでに10年以上たっています。

そして、75歳以上の中でも85歳以上が最も多く、85歳以上が0~74歳という大集団にどんどん迫って、最新の2020年は11万3244人と、2万3千人差に迫ってきました。

なぜ国立がん研究センターはこの急増をトピックスとしないのか。「見ざる聞かざる言わざる」としか見えません。素人考えでも大問題に思えるからです。

 「老衰」で穏やかに逝けたかもしれない超高齢者の方々ががんで亡くなるケースが急増しているのです。

 容易に予想できるのは、85歳以上に対しても、積極的な抗がん剤投与などが行われているのではないかという強い疑いです。

日本のがん医療は、早期診断・早期治療を長年是としています。最新の医薬品売上の上位三つを抗がん剤が占めているのも日本の現実です。それを踏まえて国際比較をしたいのですが、全年齢で比較した最適な国際比較はあいにく見つかりませんでした。手元には下駄をはかされた国際比較しかありませんが、一緒に見ていきましょう。

 

第75回がん対策推進協議会資料 がん年齢調整死亡率の国際比較(研究代表者 片野田耕太) 2020年度厚労省研究費補助金がん対策推進総合研究事業

折れ線グラフへのコメントをピックアップし、一部私見(とはいえ見たままのことです)を追加します。日本と比較対象は米国、英国、カナダ、オーストラリア、韓国です。

 

<大腸がん>

コメント「男女とも1990年代後半から減少しているが諸外国より減少が鈍い」 

私見「最新データでは人口10万対で男女とも大腸がんはトップ

<肺がん>

コメント「男女とも1990年代後半から減少しているが諸外国より減少が似鈍い」

<女性乳がん

コメント「死亡率は低いが増加が続いている」

<子宮頸がん>

コメント「死亡率は増加に転じ諸外国と順位が逆転」

私見「順位が逆転では不十分で死亡率はトップになった」

<子宮体がん>

コメント「死亡率は増加し欧米諸国レベルに」

私見「日本、諸外国ともに最近は増加傾向」

<膵がん>

コメント「男女とも増加し諸外国と順位が逆転」

私見「男性は最近ではトップ、女性は最近では米国に次いで2位」

 

最後のまとめでは、子宮頸がんについて、コメントが追加されています。

「子宮頸がんは諸外国と対照的に増加に転じている(近年は韓国より高くなっている)」

 

平成、令和とかれこれ40年、日本の死因トップはがんであり続けています。これは早期診断・早期治療という日本のがん医療に大きな疑問を投げかけなければなりません。85歳以上死亡数の急増は大問題ですし、後期高齢者を除外した、医療側に言い訳がしやすい後期高齢者除外統計でも、大腸がん、男性膵がん、子宮頸がんは死亡率トップになっています。

 

日本はがん医療において負け続けているにもかかわらず、敗北を真正面から見ようともせず、旧態依然のがん医療に無批判のまま、漫然と続けているのではないでしょうか。