陽謀日記

陽謀を明かします

動画更新 名著紹介「日本の医療の不都合な真実」~夕張の奇跡編――当然、イケメン道知事の実績ではありません!

前回予告しました名著紹介「日本の医療の不都合な真実」です。特に印象的な<夕張の奇跡>を扱う前編です。夕張はイケメン道知事の始まりの地でありますが、財政破綻後に市長になっており、彼の実績ではないことを冒頭に述べます。

 

参考:日本の医療の不都合な真実 コロナ禍で見えた「世界最高レベルの医療」の裏側

(森田洋之著、幻冬舎、2020年第1刷)

国民必読書です

筆者の森田洋之さんは夕張市立診療所長を務めた医師です。そして医療経済をテーマにした医療ジャーナリストでもあります。

同書は、冒頭で流行病を欧米には体長100メートルのゴジラが襲い、日本を含む東アジアには体長1メートルのジャガーが襲ったと例え、流行病の猛威を各国ごとに解説しています。つまり東アジアは欧米の100分の1の被害で、別物の感染症のようだったわけです。

医療の仕組みが各国で大きく違うことと同時に、日本が世界一の病床数を持ちながら2%未満しか利用できなかった点に迫っています。

ゴジラが襲ったイギリスでは、家庭医の仕組みが国民に浸透し、王室以上に医療体制を国の誇りに思っているそうです。

国民が抱く日本の医療への誤解を示し、前半から興味深い話満載ですが、後半部分の夕張の奇跡の物語が、最もお伝えしたかったことです。

団塊の世代がすべて後期高齢者になる2025年問題を解決する財源不要策のヒントとなるでしょう。政治家にその気があればですが…。

 

2007年北海道の夕張市財政破綻しました。当然ながら医療も大きな影響を受けます。

夕張市立総合病院171病床が19床の有床診療所と老健施設に縮小されたのです。市内の病床数が10分の1になりました。外科、小児科、透析医療はなくなり医師は5~10人から2~3人に減りました。さて、万人は例外なく医療崩壊を予想するでしょう。

 

しかし、崩壊後に夕張で起きたことは、死亡率は変わらないのに医療費が減り救急出動件数も半減しました。さらに、▽老衰死亡率激増▽訪問診療患者数激増▽救急車出動件数激減▽特養での看取り率激増です。

老衰が激増し(※崩壊前は高齢者のまちなのに異常に少ない)、訪問診療数が増えて、救急車の出動が減り、特養での看取りが増えたのは、特養老人ホームから救急搬送されるようなことがなくなったことを意味します。

医療側と高齢者の信頼関係がないと起こらない劇的な変化だと言います。

死因に病名がつかないことを医者は敗北と感じるから、訪問診療などで培われる信頼関係がなければ、逆に老衰とは付けられないそうです。

医療崩壊時の村上智彦院長の方針「訪問診療や訪問看護を増やす」が功を奏したものです。

病床数の激減を補うための苦肉の策ですが、できるものなら病院より家の方が高齢者にはいいわけです。

これは次回世界と日本のデータをさまざま取り上げる際に、詳しく話しますが、世界の先進各国が病床を減らしながら平均寿命を延ばしてきました。

高齢者の生活習慣病がメインターゲットとなるなら、当然医療の需要も減ってよかったのです。

しかし、日本は人口あたりの病床数は世界一でありながら、医師数は随分少ない方であるといういびつな現状があるのです。

夕張では、本当に必要な医療だけが施された。だから、患者と医療の信頼関係が生まれたと。特養老人ホームから救急搬送される医療が本当に必要な医療とは到底思えません。

なお、チャンネル桜を視聴されるような方には釈迦に説法ですが、イケメン道知事の立身出世の始まりの地は、財政破綻後の夕張市ですから、夕張の奇跡には直接関係ありません。忘れてはならないのは、破綻後の夕張市有財産を中国資本に叩き売ったことです。

 

話を戻します。以前の名作紹介で、75歳になったら自由に安楽死を選べるという映画「PLAN75」を紹介しました。上映から半年たっても高齢女性で満員だったことに、後期高齢者の急増で医療費が高騰・破綻するかもしれない団塊の世代がすべて後期高齢者となる2025年問題への関心の高さの現れと、やさしい日本の高齢者が「若者のために死んでもいいかな」と洗脳されているようにも感じました。

 

そのプロパガンダとは、年代に関係なくきつい基準に即して何かと高血圧と診断しては降圧剤を飲ませたり、データからは除外しているくせに後期高齢者に濃厚ながん治療を行ってがん死の山を築いたり、老化を寄ってたかって病気扱いすることが実体なのに、「日本の医療は真っ当」という幻想を抱かせ続けていること、です。

 

不幸中の幸いから生まれた夕張モデルは、2025年問題を前に、高齢者の医療費が増大し、若者の未来を奪うというプロパガンダを打ち破る奇跡の物語です。

 

これも以前に紹介した「大往生したけりゃ医療とかかわるな」で有名な医師、故中村仁一さんはある葬儀関係者から「最近は棺が重たくなった」と聞いたことがあるそうです。これは病院でチューブにつながれて濃厚な医療が死ぬまで続けられていることを示します。

人は100%死ぬわけですから、死を恐れるのではなく、多くの国民が枯れるように死ねなくなっていることを知り、それを恐れるべきです。

夕張モデルを広く知らしめることは、待ったなしです。

 

最後に、皇室に容赦なく侵入する「がんの早期診断早期治療は善とする」信仰に大いなる不安を感じます。

これは本のタイトルを言うとバンされるので伏字で言いますが、「〇〇〇のウソと△△△△の真実」

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「コロナのウソとワクチンの真実」という近藤誠さんと和田秀樹さんの対談本(ビジネス社、2021年第1刷)から、

畏れ多くも天皇陛下にお伝えしていただきたいことがあります。

 

和田 日本の統計を見ると、たとえば前立腺がんの検診が盛んになって、たくさん発見されているのに、むしろ死亡数が増えていますよね。

近藤 日本では、前立腺がんや乳がんなど、検診が推奨されているがんほど死亡数が増えているという皮肉な事態になっていて。たとえば、前立腺がんを見つけるためのPSA検査(採血検査)は無意味、かつ有害とはっきりわかっているので、欧米ではやめようという流れになっている。実際、PSA先進国のアメリでは前立腺がんの発見が急増して、前立腺切除術の数が4倍になったのに、前立腺がん死亡数は減らなかったし。

 

天皇陛下は11月27日、<前立腺の詳しい組織検査を受けるため、けさ、都内の病院に入られたと>速報ニュースが流れました。

天皇陛下の御身(おんみ)を思われる方が周囲におられるならば、この日本の医療の不都合な真実を何とかお伝えしていただきたい。そう祈るばかりです。

 

追伸:

20日付の新聞記事で寛仁親王妃信子さま(67)がステージ0の乳がんで部分切除術を受けられ、今後放射線療法を受けられるとのこと。