「グリーンスパンはグローバル勢力に低金利を強要された?」
アメリカの連邦準備制度理事会(FRB)で1987年から2006年まで議長を務めたアラン・グリーンスパン氏は歴代議長の中でもとりわけ有名です。
「毀誉褒貶」と言いますが、一時はアメリカ史上最長の景気拡大に貢献した「マエストロ」と誉(褒=ほ)められ、一時は任期後のリーマンショックの犯人捜しに際して「低金利を維持した信用拡大によって住宅バブルのタネを蒔き、世界金融危機を招いた」と毀(そ)しられ貶(けな)されました。
ずっと探していたグリーンスパン氏の1967年のエッセイの内容は、金融政策のトップとして、リスクの高い金融派生商品を推奨するような金融緩和を積極的に進めてきた人物とはとても思えません。
いや、むしろそのような奔放な信用拡大を唾棄している人物と言ってもよく、金本位制を断固支持しているのです。
もちろん議長就任よりずっと以前のエッセイですが、FRBは1913年すでに設立されていました。辛うじて金本位制(ブレトンウッズ会議以降は金為替本位制)も維持されていました。この時期に金本位制を支持していた人が、金融自由化が加速する時期に債務拡大支持者へ転向するとは、信じがたいのです。これほど劇的な宗旨替えは驚くべきことです。
たとえは、小さすぎるかもしれませんが、保守派を名乗った稲田朋美氏が共産運動のひとつ、多数派差別運動であるLGBT(特に性自認擁護)に邁進しているようなものです。
グリーンスパン氏が指摘したのは、国家間の金利差を使えば、低金利国から高金利国に預金が流入することです。預金を追いかけてゴールドも流入します。「イージーマネー」の国では銀行準備金の不足を引き起こします。富が移転されるわけです。その例として、1927年の英米を挙げています。少し長いですが、我慢してお読みください。アメリカが金とドルの交換を停止する1971年より前のエッセイであるにもかかわらず、絶望的な筆致と言っていいでしょう。
第一次世界大戦後のことです。
「1927年に米国でのビジネスが緩やかな縮小を経験したとき、FRBは、銀行準備金不足の可能性を未然に防ぐことを期待して、より多くの紙幣準備金を作成した。しかし、悲惨なことに、FRBが、市場の力が指示したときに金利の上昇を許可することを拒否したため、金を失っていた英国を支援しようとした(政治的に受け入れられないものだった)。(中略)英国の金の流出を食い止めることに成功したが、その過程で世界の経済をほぼ破壊した。FRBが経済に送り込んだ過剰な信用は、株式市場に波及し、幻想的な投機ブームを引き起こした。遅ればせながら、FRBが超過準備金を吸い上げようとし、ブームにブレーキをかけることに成功したが、手遅れだった。1929年までに、投機的な不均衡が圧倒的になり、その試みは急激な縮小を引き起こし、その結果、ビジネスの信頼を失った。その結果、アメリカ経済は崩壊した」
1929年はアメリカの株式市場は大暴落しました。これに続く大恐慌がアメリカが第二次世界大戦に参戦する原因ともなります。
グリースパン氏は、金本位制に敵意を持って、信用拡大を強力に推進する人のことを、「国家統制主義者」と呼んで、厳しく批判しています。
「国債を発行することにより、大規模な福祉支出を賄う福祉国家は、政府が社会の生産的なメンバーの富を没収して、さまざまな福祉計画を支援するためのメカニズムにすぎない」
「金本位制がなければ、インフレによる没収から貯蓄を守る方法はない。価値の安全な保管場所はない。もしあれば、政府は、金の場合に行われたように、その保有を違法にしなければならないだろう。(中略)福祉国家の財政政策は、富の所有者が自分自身を守る方法がないことを求めている。これは、金に対する福祉国家統制主義者の暴言のみすぼらしい秘密だ。赤字支出は、単に富を没収するための計画だ」
インフレによる没収とは、インフレは不換紙幣の減価を意味し、購買力を奪われることを意味します。インフレを通じて、購買力が没収されることです。税金よりもたちが悪く、預金からも購買力を奪います。古い預金ほど多くを奪っていきます。
インフレによる購買力の没収は是非覚えていてください。金言です。
情報通の方は、「ゴールドはロスチャイルドが支配しているから、グリースパン氏は金本位制を支持しているのだろう」とおっしゃるかもしれません。私もそんな面はあるかなと思っていました。しかし、次の記事に接して考え方を改めました。
2009年、グリースパン氏へのロイターのインタビュー記事です。冒頭に記事の一部を画像で貼り付けています。
同年はすでに議長を退任し、後任の「ヘリコプターベン(ヘリコプターで紙幣をばら蒔くベンとの異名)」ことベン・バーナンキ議長が2008年のリーマンショックに対応しているころです。
そもそもリーマンショックを引き起こしたのは低所得層にも積極的に融資するサブプライムローンと言われますが、その住宅バブルのタネを蒔いたのは前任のグリースパン氏であるという批判を受けていました。
このインタビューでグリースパン氏は重要な発言をしています。
「米中央銀行による借入コスト引き上げの取り組みがグローバルフォーシィズ(ブログ主註:グローバル勢力)によって圧力をかけられた」
借入コスト引き上げとはまどろっこしいですが、金利を上げることです。つまり金融引き締めです。グリースパン氏は、リーマンショックにつながるサブプライムローン問題のタネを自らが蒔いたのではなく、グローバル勢力が圧力をかけてきたからだ、という重大な証言をしているのです。
しかし、ロイター記者の書きようは「やれやれ、正体不明の者に責任転嫁するのか?」といった風です。
「あなた金融政策の最高責任者でしょ。グローバル勢力とか陰謀論ですか?」と言外ににじませていると言えば言いすぎでしょうか。
情報通の方ならば、<forces>という複数形に妙なリアリティーを感じ取られることでしょう。元来、金本位制を支持していたグリースパン氏の発言の真意は、「金利を上げて信用拡大を止めたかったのに、グローバル勢力の圧力でそうさせてもらえなかった」としか読めません。グローバル勢力の手先とも言える地位にはいましたが、19年間金融の最高権力者に君臨しても、思うような政策を取れないことに同情する面もあります。
陰謀論ガ―論者は、「闇の政府などどこにあるのだ」など極端なことを言いますが、わざわざ看板を掲げていては「闇」の意味がありません。最近も、FOXキャスターのタッカー・カールソン氏は「パーマネント・ワシントン」とグローバル勢力を表現しました。グローバル勢力はわざわざ名乗りこそしませんが、陰謀論ガ―論者に助けられ、堂々と表に出てきているのです。
グリーンスパン後、世界中でさらに加速してきた金融自由化(日本も先頭を走ってきました)と、国家が把握しきれない暴走マネーの存在は、戦争⇒恐慌⇒戦争あるいは、信用拡大⇒信用縮小⇒信用拡大という歴史を想起させずにはおれません。
来年度、財務省・日銀は何か企んでいると思うのです
日銀は来年度、2024年度上期にお札の刷新を図ります。
当時財務相の麻生太郎氏が5年前にあたる2019(平成31)年に発表したものです。
新札の肖像画は、一万円札が福沢諭吉から渋沢栄一へ、五千円札が樋口一葉から津田梅子へ、千円札が野口英世から北里柴三郎へと変更されます。
この発表年の2019年、6月17日号プレジデント誌に「財務省が密かに進める2024年『徳政令』プラン」という記事を書いたのは大前研一氏です。
徳政令と言えば、為政者が債権者・金融業者に債務放棄を命ずる、つまり、借り手の借金を帳消しにする措置ですが、この記事の徳政令は政府の借金を帳消しにする意味の逆・徳政令です。
前回、2004年のお札の刷新は周期的には20年というサイクルで今回(2024年)と同じですが、発表のタイミングが前回の2年前発表から今回は5年前発表と早過ぎます。
この準備期間の長さをATMメーカーのコンサルタントを何十年とやっていたという大前氏は「新紙幣の切り替えにはそれなりの準備が必要だ。一番のネックはATMで、私はその苦労をよく知っている。真贋鑑定をしたり、お札の枚数をきちんと数えたり、2枚重ねで送り出さないようにする技術というのは実は結構難しくて、設計変更および据え付けなどに数年はかかる」と怪しんだわけです。
準備期間が2年しかなかった前回でさえ、「一例として旧札1万円を入れると、新札8千円になって出てくるATM機の開発を財務省がATMメーカーに検討させていた」「50兆円規模のタンス預金を炙り出し、新紙幣と旧紙幣を交換する際に2~3割をパクれば国家財政としては大いに助かる」と暴露しています。
「しかし、ATMメーカーから設計図面の情報が漏れて、議員からの問い合わせで大騒ぎになり、財務省は断念せざるをえなかった、といわれている。幸い、国債の暴落危機が遠のいて、沙汰止みになったのだ」
今回は4年の準備期間があり、さらに1年残っています。
大前氏は記事で「今の日本国債のデタラメな発行ぶりを考えると、財務省が5年以内の暴落に備えて国民の資産をパクる『徳政令』の準備をしていても不思議ではない」と続けているのです。
パクるATM機は一例に過ぎません。
例えば、フランクリン・ルーズベルト米大統領は大恐慌時に銀行からの預金流出を防ごうと「銀行休日(バンクホリデー)」を合法化しました。銀行休日は預金封鎖とニアリーイコールです。
また、貯金税などの資産税を、増税大好き岸田政権なら正当化するかもしれません。
アフリカの経済大国ナイジェリアのニュースが目に留まりました。
2月17日読売新聞の国際面に「通貨ナイラの新紙幣導入を巡る政府の対応に不満が高まり、各地で銀行襲撃など暴動が相次いだ」という記事が出ていました。CNNの報道なども見ました。
ナイジェリア中央銀行は昨年10月新紙幣導入と旧紙幣の廃止を発表した。偽札防止とタンス預金放出が狙いとみられ、2月10日を期限にほとんどの商店が旧紙幣の受け入れを拒否したが、新紙幣は十分に流通せず、市民生活が混乱に陥って暴動が複数州に広がり、政府は16日、旧紙幣の使用期限延長を発表というドタバタぶり。
遠くアフリカの話と侮れません。たった4か月の準備でもこれだけのことができ、大混乱が起こりうるのです。
LGBTやSDGsで浮世離れして呆けている日本の与野党の国会議員が逆徳政令の防波堤になるとはとても思えません。
私たちが目を凝らし、耳を澄まして、財務省・日銀を注視しなければなりません。
偽札防止のための5年間であれば、謝罪します。
日銀のレノボ製パソコンは安全だそうです~日銀見学後記2
2月7日、日本銀行大阪支店を見学後、東京本店にも質問していた結果をご報告します。
見学時に見た光景について質問していました。
質問内容「レノボ製のパソコンが大阪支店に10台近くありました。同社製は中国政府の影響下にあって、アメリカでは政府機関に不向きとされ、同社製にはバックドアがあるとのうわさも根強くあり、個人購入でさえためらいます。情報流出の危険性についていかがお考えでしょうか?」
これに対して、「個別金融機関の情報管理については、当該金融機関にお尋ねください」という返答が一旦あり、
「一市中銀行で見かけたものではなく、日銀の支店の話です」と再度質問したものです。
それで回答は、「日本銀行内で利用するパソコンを含む機器につきましては、情報セキュリティの観点も含め、所要の措置を講じております」とのこと。
わざわざ所要の措置を講じなければならないのも非効率とは思いますが、今や純日本製と言えるパソコンが少ないのも事実かもしれません。この点は、ひとりひとりが肝に銘じておくべきことでしょう。
読書中の本「日銀発金融危機」(志賀櫻著、2013年朝日新聞出版発行)に面白いエピソードが載っていました。志賀さんは元東京税関長。4月に任期満了となる黒田東彦総裁の4年後輩にあたる大蔵省OBです。4回も勤務を共にしています。
私も新聞社に勤めていましたので、圧倒的な知識量で勝る取材先と互角に渡り合う難しさを痛感していました。
同書からの引用です。
<ある女性記者がお台場の東京税関長室を尋ねてきた。「志賀さん、記者会見のときに黒田財務官に、『新聞記者は、為替政策については、政府が発表したことをそのまま書いて読者に伝達すればよいのであって、内容についてあれこれ解釈したり論評したりすることは不要である』と言われた。財研(財務省記者クラブ)のみんなで財務官発言の真意を議論したのだがどうもよく分からない。志賀さんなら解説してくれるのではないかと思ってやってきた」と言う。>
志賀氏は「黒田財務官はものすごく失礼なことを言っているのである。怒らなければ駄目じゃないか」と解説したと続きます。
黒田氏が日銀総裁前の発言ですが、いくら頼りない記者であっても、その先にはわかりやすくあれこれと説明すべき国民がいます。
記者だけでなく、国民に対しても、「由(よ)らしむべし知らしむべからず=論語泰伯編より、民衆は為政者に従わせればよく、施政の詳細を説明する必要はない」という姿勢の人物ではないか、という疑念を抱きました。
黒田日銀の「異次元の金融緩和」の10年が、<あれこれ解釈したり論評したり>がなかったのではないかという思いを強く持っています。
お札の印刷費は1枚約16円~日銀大阪支店見学後記1
来年上期には1万円札は渋沢栄一などお札のデザインが刷新されることから、日本銀行券になにかと興味が尽きないハライター原です。
日銀の新総裁人事も最初の方は新聞辞令のせいで潰れたのでしょうか?
日銀見学後に抱いたお金への疑問を調べています。
日本銀行法46条によると、日銀券は国立印刷局が製造し、日本銀行が発行します。
日銀と国立印刷局の間で日銀券の印刷契約が交わされています。
財務省のホームページには「日銀券製造枚数」がお札の種別に記録があります。
そこでちょっとひらめいて、お札はいったい1枚いくらなのかを計算してみようと思いました。
枚数がわかりましたから、あと必要なのは製造費ですが、今度は日本銀行ホームページに「銀行券製造費」が存在しました。
令和3年度の日銀券の製造枚数は30億枚です。ちなみに、この年は千円札が多かったのですが、令和4年度は1万円札が最多でした。二千円札は刷っていません。
財務省の毎年の計画のもと製造枚数は決まっています。
昔はしわくちゃのお札や夕飯の材料の書き込みもあったものですが、最近のお札はきれいなものが多いですね。もちろん、東日本大震災のような災害時に破損したお札なども新しいものに取り換えられます。
使用頻度の高い千円札なら寿命は1~2年とか。
そんなに傷むか?とも思いますが…。
傷んで銀行に戻って来たお札は日銀に持ち込まれ、刷られたばかりの真新しいお札に次々取り換えられるということです。
横道にそれましたが、日銀券の製造費は令和3年度が約493億円です。
つまり、1枚あたり約16円。
こう言っては何ですが……両面カラー印刷、しかもホログラムや透かしの最新印刷技術まで使用して、これは安い!
お札の関係先に尽きない疑問をいろいろと質問をしているところです。
進展がありましたら、また、見学後記でご報告します。
「えっ、日銀にレノボのパソコンがずらり!?」~日銀大阪支店見学記
日本銀行大阪支店を見学してきました。お札(日銀券)について知らないことが多いですね。見たこと、気付いたことを書き留めたいと思います。
某日午後、大阪市北区中之島の大阪支店を訪れました。大阪市役所のすぐそばにあります。
1日2回の見学があり当日午後の部は参加9人。若い人もいましたが、私も含めて全体的に年齢は高めです。
手消毒し体温を測って、身分証を示します。空港さながらの金属探知機を通ります。広めの部屋に移り、ロッカーに上着やカバンを納めて、DVDを18分見ます。
日銀の歴史として、明治15年(1882年)に開業。「西南戦争(明治10年=1877年)後のインフレを踏まえ、お金の価値を安定させる目的で」設立されたと言います。
※不換紙幣の増発によるインフレのあと、緊縮財政による松方デフレがあったそうです。
海外にも7つの事業所がありますが、アメリカにはニューヨークとワシントンに、中国には北京と香港にあります。そのほかはロンドン、フランクフルト、パリ。<米2か所、中2か所>に日本の置かれている現状を見るようです。
日銀券というからには、日銀でお札を印刷しているのかと思いきや、印刷しているのは独立行政法人国立印刷局です。
※同ホームページによると、財務省が数量を決定し、日銀との契約に基づいて納品されるそうですから、お札にかかるコストについて聞いてみたいと思います。
日銀に口座が持てるのは金融機関と政府だけです。
A銀行からB銀行に振り込むという銀行間のみの取引と思っていましたが、この送金は日銀が仲介しているとのこと。1日100兆円が行き来するそうです。
DVDの締めくくりは、4月退任する黒田総裁が「日銀の仕事は物価と金融システムの安定が重要」とあいさつしていました。
一般向けには、きれいなお札にし続けるための取り組みや偽造防止のさまざまな技術、デフレのみを心配する(※インフレはあまり心配しない)というタッチのつくりだったと感じました。
その後、財布とカメラ・スマホだけ持って慌ただしく新館、休館を見学します。銀行向けにいくつも並ぶ窓口の一角(紙の文字をデジタル化する部門のような話でした)で説明を受けている際、目に留まったのは「レノボ製パソコン」です。
中国資本(つまりは中国政府の影響下)であり、「レノボ製にはバックドアがある」といううわさもあります。
同社ロゴ入りのパソコンが10台近くあったでしょうか。日銀が国55%出資の株式会社というなら、半官半民の政府機関のようなもの。個人購入でもためらうのに安全性は大丈夫なのでしょうか。この点も尋ねてみたいと思います。
歴史的建造物としての紹介が主なようでしたが、資料室でブラックライトを当てる装置が置いてあり、実際に1万円札をかざしました。表面にはなんと「総裁之印」が発光します。当てずともはっきりわかりますので、すかしの左下にある赤い印字を見てみてください。裏面の右下には「発券局長」の印字があります。意外に気付かないものですね。
※米ドル(連邦準備銀行券)は、時の財務長官のサインが表に印刷されています。今ならば、元FRB(連邦準備制度理事会)議長のジャネット・イエレン財務長官のサインが入っています。
以上が日銀大阪支店見学記です。
上記2点の疑問点のほかにも現代貨幣の本質的なことを知りたく、見学担当者に尋ねましたが、東京の本店に改めて問い合わせることにします。回答が得られたら、お知らせしたいと思います。
【ご報告】バン対象で世界中が知るべき重要な動画を新プラットフォームで準備中です
陽謀日記の更新を長らくお休みしていることをお詫びします。
前回の更新後、「マネーを生みだす怪物」「アイアンマウンテン報告」という図書と出会い、大きな衝撃を受けました。
これらの内容は、ユーチューブなら確実にバン対象となりそうで、かつ世界中の人にも知らさなければならない重要な話題です。
にわかには信じがたい話ですが、日本にも大いに関係する話で、読後の感想としてはとても陰謀論では片づけられないと思いました。
きちんと説明できるように質問に答えられるように勉強かつ取材中です。
それに伴い、新しい動画配信方法を模索しています。
ニコニコ動画ならほかにもコロナについてのさまざまな発信も可能でしょうし、
ツイッタースペースなら重要な話を世界に音声で発信できるかもしれません。
しばらく更新はお待ちいただくことになると思いますので、ごく簡単にどんな図書であるかをご紹介します。
▽「マネーを生みだす怪物」(G・エドワード・グリフィン著)
連邦準備制度を廃止する七つの理由を説いています。「インフレは政治家に都合がよく、国民がそれとは気付かない徴税」であることを、事前に財政学を学んで銀行業務に精通した著者が丁寧に紐解きます。翻訳本より入手しやすかった原書「The Creature from Jekyll Island(ジキル島から生まれた怪物)」で、わかりやすくお伝えする方法を検討しています。
▽「アイアンマウンテン報告」(レナードC.リュイン著)
グリフィンが「マネーを生みだす怪物」の中で、「アメリカ経済を対外援助や無駄な公共事業で意図的に疲弊させる戦略の中身をたどると、ハドソン研究所発とみられるアイアンマウンテン報告書(1966年発表、ロバート・マクナマラ国防次官=CFRメンバー=委嘱)に行きつく」と言わしめた原書の翻訳本です。
「はじめに」でネーション誌の発行人が「金儲けのための偽書」と言う異例の図書です。「妄想じみた陰謀史観論者たちは『アイアンマウンテン報告』が偽書だという説こそ、政府の陰謀なのだと信じている」と言うにいたり、陰謀論ならいずれは消散するだろうに、いち早くあるいは先手を打って「陰謀論だー」と弾圧される事例の数々を思い出し苦笑を禁じ得ませんでした。
偽書か否かはともかく、「戦時にあるいは戦争の脅威が存在するときにのみ、大衆は不満を抱かずにおとなしく政府のくびきに従う」とし、「国家の存続に必要不可欠な」戦争の代替物として①洗練された奴隷制②大衆を熱狂させる血のゲーム③エイリアンの侵略を挙げつつも不充分とし、「核兵器による大量破壊に代わって、大規模な環境汚染が最大の脅威とみなされるかもしれない」。一方で、新しいモデルの有効性が立証されない限り「戦争システムを消えさせるわけにはいかない」という、とても金儲けのつもりだった「偽書」とは思えない代物です。
くにもり兵庫ch更新 英紙報道「ブッシュ大統領は英国のトニー・ブレア首相にアルジャジーラを爆撃したいとの意向を伝えた」~名著紹介「ブラックウォーター」後編
<企業は罰を受ける体も、非難される魂も持たないのだから、好き勝手に行動する>
イギリス貴族のことば
▽ファルージャ爆撃
前編の後段で紹介したニスール広場でのブラックウォーター社員による銃乱射事件で反米意識が高まった結果、2004年3月31日ファルージャで同社員4人が殺害されました。その報復として、米軍は「犯人を探し出すために」ファルージャ包囲爆撃作戦を展開しました。
「ファルージャに対する最初の包囲攻撃で、最終的には恐らく約800人のイラク人が死亡した。(中略)数か月後の2004年11月、米軍はファルージャにさらに大規模な攻撃を加えた。それによりさらに数百人のイラク人が死亡し、(中略)米軍は総計700回近くの空爆を行い」
※外国人戦士4人への報復が子供や女性、老人を含む多数の市民への集団的懲罰なのか?というわけです。もっともな話です。
アルジャジーラの取材陣が現地入りして空爆で病院に運ばれたおびただしい数の子供と女性の変わり果てた姿を世界に報じると、米政府は「プロパガンダだ」と反応しました。
英国の「デイリー・ミラー」紙に掲載された、「極秘」の印が押された英国政府の記録によれば、ブッシュ大統領は英国のトニー・ブレア首相にアルジャジーラを爆撃したいとの意向を伝えたとされている、と書かれています。
▽傭兵が米兵に命令
ブラックウォーター社員4人が殺害された事件は大々的に報じられましたが、その5日後この戦争の象徴的な瞬間がありました。
「ナジャフで起きたシーア派による暴動でブラックウォーターが果たした重要な役割はほとんど注目されなかった。それにもかかわらず、戦闘時にブラックウォーターの傭兵が現役米兵に命令を出すというこの出来事は、ブッシュ政権が今までになかった規模で戦争の外部委託を行っていたことを劇的に示すものだった」と書いています。
▽イラクの初代”総督”
イラクの初代”総督”はL・ポール・ブレマー三世です。ヘンリー・キッシンジャー国務長官の補佐官、キッシンジャーのコンサルティング会社専務などの経歴を持ち、「イラクについての知識では任務を十分に果たせない」が、「対テロ戦争で金儲けする達人」と評されて、サダム・フセインの旧大統領宮に乗り込んできました。
※要人警護の対象は富裕層にも広がっていきます。ブラックウォーターはいち早くハリケーン・カトリーナの被災地入りしました。災害救援ではなく、「災害後の暴動掠奪からの富裕層警護」という名目です。
ブレマー”総督”は◇学校教師、医師、看護師ら何千人もの公務員解雇◇イラク軍解体で40万人が離職という復興とは無縁の国家解体に精を出す一方◇大幅な減税で多国籍企業に寛容な一連の極端な法律を制定しました。
※テロとの戦い、独裁者からの解放、民営化等々耳障りのいいことばかり言いますが、私腹を肥やし外国の国民を傷めつけているだけにしか見えません。
▽チリ人部隊
※アメリカからのイラク派兵要請を断った国であっても、その国の市民が傭兵会社の高額賃金にひかれて契約社員として赴任する。傭兵会社の外人部隊は、まさに国境のない戦争のグローバル民営化の象徴と言えます。
「世界中―特に恐ろしい人権記録と悪評を軍や治安部隊が持つ国―で、積極的に人員の採用を進めた。(中略)ブラックウォーターがイラクに送り込んだ非米国人からなる派遣部隊のうち最大規模を誇ったのは、チリの元奇襲部隊員だった。彼らの中には、残忍な軍事独裁者アウグスト・ピノチェト将軍の下で訓練を受けたり軍務に服していた者もいた」
※チリと米国の二重国籍の元陸軍士官の勧誘が奏功したようですが、1000人近くのチリ人がイラクに参戦しました。
後日談として、訳者塩山花子氏の訳者あとがきによりますと、
▽ブラックウォーターは、ニスール広場虐殺事件後2度改名し、2010年に投資家グループに買収され、3回目の改名で「アカデミ」になりました。
※国は簡単に改名できませんが、傭兵会社は改名も所有者交代も簡単です。
▽日本では2007年青森県つがる市の旧車力村しゃりきむらでレイセオン社の弾道ミサイル探知・追尾レーダーの警備に当たっていたということです。二社合わせて約100人が基地周辺に住み、活動していたということです。
しかし、戦争の民営化がこんなに進んだのかと驚くのは、植民地政策の歴史をよく知らないからかもしれません。
読み始めたばかりですが、「略奪の帝国 東インド会社の興亡」(ウィリアム・ダルリンプル著、河出書房新社2022年発刊)を少し紹介しましょう。
「17世紀初頭のインドは世界人口のおよそ5分の1、生産量は世界全体のおよそ4分の1、君主は世界一の大富豪、兵力は400万。一方、当時のイギリスの人口はインドのわずか5%、世界の工業製品に占めるイギリス製品も3%弱でしかなかった。オランダ東インド会社にも後塵を拝していたイギリス東インド会社がいかなる権謀術数で、強力なムガル帝国を代わってインドを支配できたのか」を紐解く興味深い本です。
本書冒頭にあるイギリス貴族のことばを紹介しましょう。これこそが企業、法人、会社というものの本質だと思います。
<企業は罰を受ける体も、非難される魂も持たないのだから、好き勝手に行動する>