国守衆兵庫ch更新 「世界の多くの政府を転覆することができる」~名著紹介ブラックウォーター前編
「ブラックウォーター 世界最強の傭兵企業」
今回ご紹介するのは「ブラックウォーター 世界最強の傭兵企業」です。以前紹介しました「対テロ戦争株式会社」と併せて読みたい本です。傭兵会社が共和、民主政権関係なく成長してきたことがわかります。結構な大書でありますので、2回に分けてお送りします。
前編では、とりわけ印象的なくだりを紹介しましょう。まずは例の事件の前日に行われた演説です。
要約しますと
ドナルド・ラムズフェルド国防長官が2001年9月10日、最初の重要な演説を行った。
演説の相手は、防衛契約という巨額のビジネスを監督する―ハリバートンやダインコープ、ベクテルズなどを管理する―ペンタゴンの担当者だった。これらの担当者は、エンロンやノースロップ・グラマン、ジェネラル・ダイナミックス、エアロ・スペースコーポレーションの元幹部たちで、ラムズフェルドが国防省の高官に抜擢した面々。彼は演説で、宣戦布告を宣言した。
※相手はもちろんアル・カイーダではありません。アメリカ人はこの日までアル・カイーダなど知らなかったからです。彼が言う「合衆国の安全に深刻な脅威をもたらす敵」とは、旧ソ連でもなく、独裁者でもなく、「敵は、ペンタゴンの官僚主義だ」と言うわけです。そこで、「官僚主義から民間セクターにもとづく新しいモデルへと転換するよう呼びかけた」のです。
※まさに、911の前日に安全保障にさらなる民営化の必要性を訴えたわけです。何という偶然でしょうか。
「ペンタゴンは大手兵器製造会社出身者で満ちあふれていた」
※国防省の高官に多数の軍需会社から抜擢されていることに驚かれる方も多いでしょう。その具体的な人物名と古巣の会社名も書かれています。
ペンタゴンは、ポール・ウォルフォウィッツ(※ネオコンとして知られています)らのイデオローグ(※理論的指導者)、ピート・オルドリッジ国防次官(エアロスペース社)、トーマス・ホワイト陸軍長官(エンロン)、ゴードン・イングランド海軍長官(ジェネラル・ダイナミックス ※米国会社四季報-国防大手。)、ジェイムズ・ロッシュ空軍長官(ノースロップ・グラマン ※米国会社四季報―米政府向けの売り上げが8割を超える国防大手)などの元企業幹部ら―その多くは大手兵器製造会社出身だった―で満ちあふれていた。
※軍需部門のある大企業から自衛隊の幹部になるようなことを日本人はあまりイメージできないでしょうが、これがアメリカの現実です。
ウクライナをブリンケンと訪れていた現国防長官のロイド・オースティンもトマホーク、パトリオットを開発したミサイル世界トップメーカーのレイセオンの元役員。こうした指摘を大手紙、テレビはまったくしません。
「ブラックウォーターは世界の多くの政府を転覆することができる」
本書の主役であるブラックウォーターのまとめを引用しましょう。
「武装ヘリコプターを含む二〇機以上からなる航空隊を擁し、偵察飛行船部門を有している。ノースカロライナ州モヨックにある七〇〇〇エーカーの本部は、世界最大の民間軍事施設である。そこでは、一年に数万人もの連邦警察官や地方警察官、『友好国』の部隊が訓練を受ける。同社には独自の諜報部門もあり、元軍人や元諜報高官が重役の座に就いている。(中略)政府から得ている契約は、一〇億ドル以上にのぼる。しかも、これには米国諜報部や民間企業・民間人、外国政府のための活動に関わる『闇』予算は含まれていない。ある米国議会議員が言ったように、厳密に軍事的観点からは、ブラックウォーターは世界の多くの政府を転覆することができる。(中略)ブラックウォーターは傭兵部隊であり、エリック・プリンスというただ一人の人間の指揮下にある。プリンスは急進的右派クリスチャンの大富豪で、ブッシュ大統領の政治活動だけでなく、右派クリスチャン政策のために多額の資金を供出している」
※億万長者プリンス家(※うそのようですが)の御曹司で元特殊部隊ネイビーシールズ隊員エリック・プリンスが1997年に設立した傭兵会社ブラックウォーターですが、2001年911テロの際はほとんど無名でした。イラク戦争を足掛かりに急成長した同社は戦争の民営化の象徴的存在と言えます。
そもそも
大規模な軍の民営化が始まったのが1989年から1993年パパブッシュ政権下で国防長官だったディック・チェイニーの時代。1991年当時戦地に送られた者の官民比率は10対1と。「チェイニーはこの比率を増大させることに燃えていた」と書かれています。
チェイニーは任期を終える際、のちにCEOとなるハリバートンの子会社ブラウン・アンド・ルート(のちにKBR)に、軍の支援サービス―兵士の住居、食事、洗濯など―の多くを民営化する方法を調査する機密研究を委託した。ということです。
※ディック・チェイニーとドナルド・ラムズフェルドは盟友です。民営化への移行期に訓練施設が閉鎖されたことがもとは民間訓練施設の同社にとって急成長のもとになりました。ブラックウォーター社名の由来は、ヴァージニア州東部からノースカロライナ州北東部に広がる11万1000エーカーの泥炭地の黒い水。ちなみにプリンスの姉ベッツィーはアムウェイの創設者とされ、トランプ政権では教育長官を務めました。
「イラクで最も憎まれている米国の占領者の命を守るために、手段を選ばずその役目を果たしてきた」
ここで本書の冒頭に戻ります。
エリック・プリンスが呼ばれた下院監査政府改革委員会公聴会の様子から始まります。ブラックウォーターがイラクでの”イラク総督”となる大使らの要人警護契約を結んでから4年たった2007年9月16日イラクバグダッドのニスール広場でブラックウォーターの傭兵が突然銃を乱射、イラク人17人が死亡し、20人以上が負傷しました。この責任を問われたのです。同社を相手取った訴訟も起こりましたが、米国政府の公然の汚い秘密として「イラクで最も憎まれている米国の占領者の命を守るために、手段を選ばずその役目を果たしてきた」ため成長のブレーキにはなりませんでした。
数多くの米軍兵士がイラクでの殺人関係の罪で軍法会議にかけられてきましたが、ブラックウォーターの傭兵の中でどのような法制度の下であれ罪に問われた者は誰一人いなかった、のです。
※ジュニアブッシュ共和党政権下で伸張したブラックウォーターなどの傭兵会社ですが、そもそも民主クリントン政権で萌芽し、オバマ民主党でもさらに成長しました。左右の議論は無意味かもしれません。また、トランプは乱射したブラックウォーター社員4人に恩赦を与えました。
議会での議論も不要だし、自国の兵士が死なないからうしろめたさもない。民間だが、国との契約に基づくので秘密も保てる。軍の民営化の流れにはとても抵抗できないのかもしれませんが、「トランプは戦争嫌い」というくくりは額面通りに受け入れられません。国軍を使っていないことが罪悪感を薄めているのではないでしょうか。
一方、この事件を機に吹き上がった反米意識が別の傭兵4人の殺害事件、米軍による報復のイラクファルージャ空爆につながります。
前編はここまでです。次回後編で日本とのかかわりについても見ていきます。
国守衆兵庫ch動画更新!<核保有せよ>~ハライター原の名著紹介「村田良平回想録」
「村田良平回想録上巻下巻」
2008年9月第1刷 ミネルヴァ書房発行
新年あけましておめでとうございます。ハライター原です。本年もよろしくお願いいたします。新年最初の名著紹介です。
新日本文化チャンネル桜の番組・伊藤貫さんの「真剣な雑談」でアメリカが日本に押し付けた三つの巨大なウソの回の中で紹介された外務省事務次官経験者の絶版本をぜひ読みたいと思い、兵庫県内の図書館で借りました。
サブタイトルに「祖国の再生を次世代に託して」と題した下巻を中心に紹介します。(※ちなみに上巻のサブタイトルは、戦いに敗れし国に仕えて、です)。
河野洋平や小泉純一郎らへの批判はおもしろいのですが、長くなりますので河野洋平だけにします。彼の人柄がよくわかります。
河野洋平元外相について「1994年11月22日退官の際、大使3名が待っていた大臣室の接見室で河野洋平大臣は二言三言もごもご述べて辞令を渡すと急ぎ足で大臣室へ戻った。「四〇年以上国のために働いた三名に対して、せめて五分間でも坐を奨めて、ねぎらいの言葉はあってしかるべきではなかったか。私は随分失礼な大臣もいるものだと思った」
ほかの政治家批判は、ぜひ図書館で借りてお読みください。
国守衆兵庫チャンネルで動画を更新しました。ぜひご覧ください。
格調高い本題に入ります。小見出しをこちらで付けながら、外務省事務方の元トップの直言を紹介します。占領軍押し付け憲法を屈辱と感じる国民には勇気を与えてくれますので、新年最初の名著紹介にふさわしいと思います。
<憲法のウソ>
「私の四二年余の外務省勤務は概ね順調に進んだと見えるだろう。しかし、内心においては三つのものと「葛藤」の日々であった」
憲法と政府の公式解釈への内心の反抗、抵抗として
「出自を憤り、前文、九条第二項等を戦勝者による敗戦国への押しつけとして憎悪しつづけた」と最大限の悪感情をあらわにしています。
「憤りは主として二つ―外国人によって外国語で起草されたものの翻訳であり、微修正以外は許されなかったという明白な事実ともう一つは、前文と九条二項」「九六条の手続きなどどうでもよく、無視して、日本人の手で妥当な手続きを採択すればよい」
「私は五月三日の憲法記念日を心から祝福する国民は皆無であると断定する」
「独立国の自衛権という当然の日本の国家としての権利も認めないのが、最初に占領を開始した際のマッカーサーの意図であったが、流石に理論上も現実政治上も完全非武装ということはおかしいとマッカーサーも認めて、草案に『自衛のための戦争も放棄する』というくだりがあったのを事前にケーディス(第9条の起案者)に削除させたのだ。といって、何人もこの芦田修正により、日本が自衛のための戦力を保有しうると進んで述べもしなかった。(略)九条二項の規定と現実との矛盾に無理に整合性を与えるため、過去六〇年余、政府はこと防衛については、国民に嘘をつき続けた」
マッカーサー評として「稀代の虚妄の固まりとも言うべき人物」とありました。
「一月二四日の幣原・マッカーサー会談で、(略)真相は何人も知らないままとなったが、(略)天皇の地位を保全する代わり、日本は戦争を放棄すべしとし、幣原首相がこれをやむなしとしたとの筋書きしか考えられない」
「憲法の成立過程を国民に示して、現行憲法の無効宣言を発し、国民の祝日たる五月三日の『憲法の日』を廃止することからことを始めるべき」
<日米安保のウソ>
「一九五二年発行の旧安保条約は占領目的で押さえていた日本国内の諸基地のうちこれはというものをそのまま保持することを合法化する目的でのみ締結されたもの」
「米国は日本の国土を利用させてもらっており、いわばその片手間に日本の防衛も手伝うというのが安保条約の真の姿である以上、日本が世界最高額の米軍経費を持たねばならない義務など本来ない」
「現状のままずるずる物事が進めば、日本は、人(自衛隊)と財(資金)的貢献の双方で米国の要求への従属性が一層高まるだけとなるだろう。(略)自国の安全と生存のため、自尊心と独立心を失うことは、奴隷根性であるとすべての日本人が認識してほしい」
<日米の経済関係のウソ>
「日本の国際収支上の黒字の大部分は米国国債の大量保有へ形をかえているが、何時までこの姿を続けるのか」
橋本・クリントン―規制撤廃および競争政策に関する日米間の強化されたイニシャティヴ
「八〇年代、私の駐米大使時代まで日本の五〇〇億ドル程度の対米黒字に対し、米国は居丈高に、報復措置をとるとの脅迫で、日本側に譲歩を迫った。ところが現在の中国は日本の対米黒字の数倍で、知的所有権保護のでたらめさは全世界の批判の的であるのに、かつての対日姿勢よりはるかに融和的」
<NPTの真の目的>
「核不拡散条約(NPT)という不平等条約がそもそも締結された際は、七割方の目的は日本とドイツの二国の核武装の途を閉ざすことにあった」
※岸田首相は日本封じ込め政策を推進しています。
<核保有せよ>
「私は、日本が英国あるいはフランスと類似の、潜水艦による極めて限られた自前の核抑止力を保存するのが最も正しい途であり(中略)むしろ当面の障害は、日本国内にある情緒的な反核感情と、これを煽るマスコミ、学者の勢力であるから、日米間で腹蔵ない話合いが核についても必要な時代が到来したという平凡な事実を指摘したい」
※情緒的な感情は当時よりもさらに情緒不安定になっているように感じます。
「国際社会より前に、まず日本あり」との発想が欠かせないというのが私の考えだ。その上で友好的な関係が、できる限り多くの国々と成立することに努めるべきなのだ」
※外務省事務次官のこの言葉は重い。現外相には噛み締めてほしいことばです。
「ポツダム宣言の日本国軍隊の無条件降伏条項を平然と無視し、全面的に日本という国全体を無条件に降伏したものとして取扱った。これは実はポツダム宣言の米国による最大の違反だったのである。(中略)クラウゼヴィッツは言った。『敵の軍隊を壊滅しても、国が残れば軍隊は再建できる。敵の国を壊滅しても国民が残れば国は再建できる。しかし、国民の意志、魂を壊滅させれば、完全に敵国を壊滅できる』と。米国は六年余の占領によって正に日本国民の意志と魂を壊滅しようとし、相当の成果を挙げたと評する他ない」
※カール・フォン・クラウゼヴィッツは、ナポレオン戦争にプロイセン軍の将校として参加、彼の死後1832年に発表された『戦争論』が有名。この指摘は非常に重要です。
<公職追放20万人>
占領は「流血を伴わない戦争の継続」とも表現しています。
「広汎な公職追放令は、日本再建の柱となりうる多数の有為の人材が含まれていた(総計二〇万一八一五名)。米国軍は天皇の身柄及び地位を人質として、ポツダム宣言に根拠もないものも含む諸改革を次々と進めて行った。この改革は占領の最初の二年半が特に極端であった」
※占領軍はポツダム宣言に根拠のない占領政策を進めたわけですが、特に有為の人材を20万人も失ったことが戦後も戦争を続けていたことを示しています。村田さんは下品な言い方はしていませんので、あくまでハライター原の私見ですが、
戦後日本は公職追放後の敗戦利得者という残りかすに間接支配されてきた植民地ですね。
中国にミサイルを撃ち込まれても国家安全保障会議すら開かず、NPTに前のめりで、核保有など考えることもいけないという愚かな政治家が首相というのが我が国の現実です。15年前に上梓された本ですが、色あせない村田さんの提言を草莽が噛み締めるしかありません。
国守衆兵庫ch動画更新!<核保有せよ>~ハライター原の名著紹介「村田良平回想録」
「村田良平回想録上巻下巻」
2008年9月第1刷 ミネルヴァ書房発行
新年あけましておめでとうございます。ハライター原です。本年もよろしくお願いいたします。新年最初の名著紹介です。
新日本文化チャンネル桜の番組・伊藤貫さんの「真剣な雑談」でアメリカが日本に押し付けた三つの巨大なウソの回の中で紹介された外務省事務次官経験者の絶版本をぜひ読みたいと思い、兵庫県内の図書館で借りました。
サブタイトルに「祖国の再生を次世代に託して」と題した下巻を中心に紹介します。(※ちなみに上巻のサブタイトルは、戦いに敗れし国に仕えて、です)。
河野洋平や小泉純一郎らへの批判はおもしろいのですが、長くなりますので河野洋平だけにします。彼の人柄がよくわかります。
河野洋平元外相について「1994年11月22日退官の際、大使3名が待っていた大臣室の接見室で河野洋平大臣は二言三言もごもご述べて辞令を渡すと急ぎ足で大臣室へ戻った。「四〇年以上国のために働いた三名に対して、せめて五分間でも坐を奨めて、ねぎらいの言葉はあってしかるべきではなかったか。私は随分失礼な大臣もいるものだと思った」
ほかの政治家批判は、ぜひ図書館で借りてお読みください。
国守衆兵庫チャンネルで動画を更新しました。ぜひご覧ください。
https://www.youtube.com/channel/UCKfu30RDOSk848z3h7GzhEw
格調高い本題に入ります。小見出しをこちらで付けながら、外務省事務方の元トップの直言を紹介します。占領軍押し付け憲法を屈辱と感じる国民には勇気を与えてくれますので、新年最初の名著紹介にふさわしいと思います。
<憲法のウソ>
「私の四二年余の外務省勤務は概ね順調に進んだと見えるだろう。しかし、内心においては三つのものと「葛藤」の日々であった」
憲法と政府の公式解釈への内心の反抗、抵抗として
「出自を憤り、前文、九条第二項等を戦勝者による敗戦国への押しつけとして憎悪しつづけた」と最大限の悪感情をあらわにしています。
「憤りは主として二つ―外国人によって外国語で起草されたものの翻訳であり、微修正以外は許されなかったという明白な事実ともう一つは、前文と九条二項」「九六条の手続きなどどうでもよく、無視して、日本人の手で妥当な手続きを採択すればよい」
「私は五月三日の憲法記念日を心から祝福する国民は皆無であると断定する」
「独立国の自衛権という当然の日本の国家としての権利も認めないのが、最初に占領を開始した際のマッカーサーの意図であったが、流石に理論上も現実政治上も完全非武装ということはおかしいとマッカーサーも認めて、草案に『自衛のための戦争も放棄する』というくだりがあったのを事前にケーディス(第9条の起案者)に削除させたのだ。といって、何人もこの芦田修正により、日本が自衛のための戦力を保有しうると進んで述べもしなかった。(略)九条二項の規定と現実との矛盾に無理に整合性を与えるため、過去六〇年余、政府はこと防衛については、国民に嘘をつき続けた」
マッカーサー評として「稀代の虚妄の固まりとも言うべき人物」とありました。
「一月二四日の幣原・マッカーサー会談で、(略)真相は何人も知らないままとなったが、(略)天皇の地位を保全する代わり、日本は戦争を放棄すべしとし、幣原首相がこれをやむなしとしたとの筋書きしか考えられない」
「憲法の成立過程を国民に示して、現行憲法の無効宣言を発し、国民の祝日たる五月三日の『憲法の日』を廃止することからことを始めるべき」
<日米安保のウソ>
「一九五二年発行の旧安保条約は占領目的で押さえていた日本国内の諸基地のうちこれはというものをそのまま保持することを合法化する目的でのみ締結されたもの」
「米国は日本の国土を利用させてもらっており、いわばその片手間に日本の防衛も手伝うというのが安保条約の真の姿である以上、日本が世界最高額の米軍経費を持たねばならない義務など本来ない」
「現状のままずるずる物事が進めば、日本は、人(自衛隊)と財(資金)的貢献の双方で米国の要求への従属性が一層高まるだけとなるだろう。(略)自国の安全と生存のため、自尊心と独立心を失うことは、奴隷根性であるとすべての日本人が認識してほしい」
<日米の経済関係のウソ>
「日本の国際収支上の黒字の大部分は米国国債の大量保有へ形をかえているが、何時までこの姿を続けるのか」
橋本・クリントン―規制撤廃および競争政策に関する日米間の強化されたイニシャティヴ
「八〇年代、私の駐米大使時代まで日本の五〇〇億ドル程度の対米黒字に対し、米国は居丈高に、報復措置をとるとの脅迫で、日本側に譲歩を迫った。ところが現在の中国は日本の対米黒字の数倍で、知的所有権保護のでたらめさは全世界の批判の的であるのに、かつての対日姿勢よりはるかに融和的」
<NPTの真の目的>
「核不拡散条約(NPT)という不平等条約がそもそも締結された際は、七割方の目的は日本とドイツの二国の核武装の途を閉ざすことにあった」
※岸田首相は日本封じ込め政策を推進しています。
<核保有せよ>
「私は、日本が英国あるいはフランスと類似の、潜水艦による極めて限られた自前の核抑止力を保存するのが最も正しい途であり(中略)むしろ当面の障害は、日本国内にある情緒的な反核感情と、これを煽るマスコミ、学者の勢力であるから、日米間で腹蔵ない話合いが核についても必要な時代が到来したという平凡な事実を指摘したい」
※情緒的な感情は当時よりもさらに情緒不安定になっているように感じます。
「国際社会より前に、まず日本あり」との発想が欠かせないというのが私の考えだ。その上で友好的な関係が、できる限り多くの国々と成立することに努めるべきなのだ」
※外務省事務次官のこの言葉は重い。現外相には噛み締めてほしいことばです。
「ポツダム宣言の日本国軍隊の無条件降伏条項を平然と無視し、全面的に日本という国全体を無条件に降伏したものとして取扱った。これは実はポツダム宣言の米国による最大の違反だったのである。(中略)クラウゼヴィッツは言った。『敵の軍隊を壊滅しても、国が残れば軍隊は再建できる。敵の国を壊滅しても国民が残れば国は再建できる。しかし、国民の意志、魂を壊滅させれば、完全に敵国を壊滅できる』と。米国は六年余の占領によって正に日本国民の意志と魂を壊滅しようとし、相当の成果を挙げたと評する他ない」
※カール・フォン・クラウゼヴィッツは、ナポレオン戦争にプロイセン軍の将校として参加、彼の死後1832年に発表された『戦争論』が有名。この指摘は非常に重要です。
<公職追放20万人>
占領は「流血を伴わない戦争の継続」とも表現しています。
「広汎な公職追放令は、日本再建の柱となりうる多数の有為の人材が含まれていた(総計二〇万一八一五名)。米国軍は天皇の身柄及び地位を人質として、ポツダム宣言に根拠もないものも含む諸改革を次々と進めて行った。この改革は占領の最初の二年半が特に極端であった」
※占領軍はポツダム宣言に根拠のない占領政策を進めたわけですが、特に有為の人材を20万人も失ったことが戦後も戦争を続けていたことを示しています。村田さんは下品な言い方はしていませんので、あくまでハライター原の私見ですが、
戦後日本は公職追放後の敗戦利得者という残りかすに間接支配されてきた植民地ですね。
中国にミサイルを撃ち込まれても国家安全保障会議すら開かず、NPTに前のめりで、核保有など考えることもいけないという愚かな政治家が首相というのが我が国の現実です。15年前に上梓された本ですが、色あせない村田さんの提言を草莽が噛み締めるしかありません。
国守衆兵庫chも更新! 北海道の大停電を見ても日本が一人負けするだけの脱炭素を進めたいのか?~ハライター原の名著紹介「SDGsの不都合な真実」後編
「SDGsの不都合な真実」を前後編で紹介しています。今回は後編です。
紋別市など北海道の道東では低気圧による大雪の影響で大規模な停電が発生しました。
「SDGsの不都合な真実 『脱炭素』が世界を救うの大嘘」
編著=杉山大志 著=川口マーン恵美+掛谷英紀+有馬純ほか 宝島社発行、2021年第1刷
国守衆兵庫チャンネルで動画を更新しました。ぜひご覧ください。
北海道電力のHPによると、12月22日から25日までにのべ13万4440戸が停電しました。北電ではもちろん原発は稼働していません(※稼働しているのは関電、九電のみです)。
ロシアのウクライナ侵攻以来、電気代はどんどん上がるのに老朽化した火力電力にしか頼れない現状が突き付けられました。
北陸ではやはり大雪による車の立ち往生もありました。
ガソリン車のようにエンジンの排熱を利用できない電気自動車は、駆動用のバッテリーをわざわざ使用しないと暖房できません。
寒冷地での原発稼働停止や雪に弱いEV車が死活問題になることがはっきりしましたが、そういった指摘は大手紙、地上波テレビではされません。雪という側面から見ても日本で脱炭素に前のめりになることなどありえないのです。
本題の名著紹介に戻ります。
本書の執筆陣は「サステイナブルなビジネス」「屋根の上のジェノサイド」などたとえがうまく、端的に本質をとらえています。
いかに、政治家が亡国の大ウソをついてきたか、科学オンチか、著名な科学者が大ウソを糊塗(こと)するための策を弄してきたか、具体的な名前もたくさん出てきます。
今回も筆者別に印象的な記述を紹介していきます。
有馬純・東京大学公共政策大学院特任教授
小見出し「日本の一人負けに終わった京都議定書交渉」として、アル・ゴアの腹黒い日本への仕掛けを教えてくれます。
米国代表団を率いていたアル・ゴア副大統領(当時)は、上院(※条約の批准権限を有している。京都議定書採択の数か月前、「途上国が先進国と同等の義務を負わない条約には加盟しない」との決議を全会一致で採択)で
決して批准されることのない京都議定書に署名したことになる。
その一方で、ゴアは「京都会議を成功させるためには議長国として、もっと野心的な目標が必要だ」として、1990年比0.5%程度の目標だったのに議長国日本は6%減という義務を負う羽目になった。
京都議定書交渉は日本の外交的敗北。EUは寝転がっても達成できる8%目標(※削減の基準年が緩ければ、達成するのはたやすい)、米国は逃げ、日本は6%減目標達成(すでに最もエネルギー効率が高い国だった)
のため、海外から1兆円を超えるCO²排出削減クレジットを購入することになった。日本の排出削減クレジットの市場として潤ったのが英国のロンドン。
「環境活動家はスイカである」→外側は緑だが、中は赤い
「環境にやさしい」という主張は「これは科学によって裏付けられている」との印籠とともにやってくる。
起源について生命科学者が科学的真理よりも党派性(民主党)を優先した。環境科学においても同じ傾向がある。
研究分野が一つに限定されている人ほどウソをよくつくという傾向がある。
※流行病の起源について詳細な科学者同士のやり取りが書かれていますので、ぜひ本書をお読みください。
※流行病の研究所起源説は一見環境問題と関係がないようですが、小見出しにもある通り<科学的真理が最優先ではない現代の科学者たち>という警鐘は、科学者が政治活動家にもなることを示し、それは環境問題でも同じであることを教えてくれます。
※なお、本ブログ後段で動画ではバンされる研究所起源説の詳細を一部お知らせします。
ガソリン車の販売を閉じることは日本経済を直撃し雇用に影響する。EV車になれば、内燃機関とトランスミッションが、バッテリーとモーターに変わる。中国製のバッテリー頼みになると、日本の自動車産業は中国にその心臓部を牛耳られる。
※日本のお家芸と言える内燃機関を捨てる意味を政治家は理解していないのか、わかってやっているのかわかりませんが、明らかに中国を高め、日本を落とす行為です。
二酸化炭素の削減は、主には中国の課題である。日本の製造業はすでに世界一環境にやさしい。世界の二酸化炭素排出量の3割は中国で続いて米国、ぐっと水を開けてインド、ロシア、日本と続く。日本の排出量は世界のわずか3%であるが、中国は2025年までに現在の排出量を10%増やす計画で、増やす分が日本の年間排出量に匹敵する。つまるところ、中国が協力をしなければこの問題は解決できない。
中国は途上国のリーダーであると自認し、「途上国は経済開発の権利がある」とする。
日本の電力は世界一高い。日本の産業用電力価格はドイツの3倍。(略)
ただでさえ高い電力料金がさらに上がれば、日本の産業はコストを下げるために日本をあとにしなければならない。出ていく先は、環境にやさしくなく、電力料金の安い中国である。
中国へのODAは1979年以降40年間で3兆6500億円あまりが拠出された。
松田智・元静岡大学工学部教員
水の電気分解で水素を製造すると高くつくので、商業ベースで実用された例はない。
菅義偉首相が就任直後の演説で「無尽蔵にある水素を新たな電源として位置づけ、大規模で低コストの水素製造装置を実現します」と表明。
しかし、この言葉、意味が不明瞭で種々の問題を抱えている。
※水に含まれる水素を指すらしいが、高コストで実用化できないのは上記の通り。大規模で低コストにはなりえない。政治家の科学への不見識を示しています。
前編でも切れ味鋭かった素材メーカー環境・CSR担当の藤枝一也さん、再度の登場です。
日本が出してもいない海洋プラスチック投棄問題に目を向けてもらうためにビニール袋を有料化したという小泉進次郎。これはグリーンウオッシュ(※環境に配慮したと、ごかますこと)の好例。
海洋プラスチック投棄問題はペットボトル等の中韓漁船団による海洋大量投棄。※日本は投棄しておらず、問題のすり替えどころか、故意に貶める反日行為。
<参考>
掛谷英紀氏
(研究者間の電子メールのやりとりから、ファウチがウイルスは天然由来とするよう圧力をかける経過を詳細につづったうえで)なぜファウチは圧力をかけてまで新型コロナウイルス研究所起源説を打ち消す必要があったのか。それは危険な研究であるとの非難を浴びても機能獲得研究を擁護し続け、武漢研究所の資金源となったエコヘルス・アライアンスにNIH(アメリカ国立衛生研究所)の資金を流す決定をしていた中心人物が、ファウチ自身だったからである。
天体物理学を専門とするカリフォルニア大学バークレー校のリチャード・ムラー名誉教授は流行病の起源に興味を持ち、協力者を求めたが、断られた。その理由は「中国の研究者と共同研究できなくなる」「研究所起源説はトランプの言っていることと同じ。トランプが大統領選に勝ってしまうことに協力できるわけがない」
もし、流行病の起源が研究所の事故による流出だとすれば、科学研究により世界で400万人以上の命が奪われたことになる。
脱炭素も流行病の起源説も民主党主導の極めて党派性が強い実態が伝わってきました。
バイデン民主党政権に寄り掛かる日本の大手紙、地上波テレビがウソをつく理由がここにあります。真実であろうとなかろうと、親分に都合の悪いことは言えないのです。
真実は良書の中です。みなさん、年末年始に読書しましょう。
国守衆兵庫ch動画も更新!「脱炭素の世界マスタープランは2007年米ヒューレット財団レポート」~ハライター原の名著紹介「SDGsの不都合な真実」前編
<SDGsの不都合な真実 「脱炭素」が世界を救うの大嘘>
編著=杉山大志 著=川口マーン恵美+掛谷英紀+有馬純ほか 宝島社、2021年第1刷発行
ハライター原の名著紹介です。今回は「SDGsの不都合な真実」を前後編で紹介します。まずは前編です。
国守衆兵庫チャンネルで動画を更新しました。ぜひご覧ください。
温暖化防止から気候変動防止へとお家芸のゴールポスト変更をしつつ、このまま化石燃料を使って二酸化炭素を排出し続ければ、地球の環境は後戻りできない危機に陥るというのは大ウソです。大ウソで産業を止めて先進国の富を奪うだけで、後進国に分配するのではなく、新たな金儲けの仕組みをつくろうというのが世界的左翼運動・脱炭素政策の本質です。
二酸化炭素の排出を2030年までに半分に、2050年にはゼロにという先進国の共通目標は狂気の沙汰です。
なにしろ、世界一、二酸化炭素を排出する中国が脱炭素に非協力的ですから、こんな目標は達成されるわけなどありません。結局中国が一人勝ちし、世界一厳しい削減目標をきまじめに守る日本が一人負けする未来しかないことを、読者は気づくでしょう。
筆者別に印象的な記述を紹介していきます。
編著で筆者を代表して序文も書いている杉山大志キャノングローバル戦略研究所研究主幹
CNNディレクターが気候変動を煽ることで儲かるフィアーセルズ(※恐怖は売りになるというマーケティング戦術、私たちは恐ろしい噂を広めるのが大好き)と漏らすところを米調査報道NPOプロジェクト・ベリタスが暴露した。
※「太陽光発電は”屋根の上のジェノサイド”」という小見出しが都知事のパロディ絵のキャプションにもつながっています。
太陽光発電用の結晶シリコンの80%は中国製であるという。そのうちの半分以上が新疆ウイグル自治区における生産であり、世界に占める新疆ウイグル自治区の生産量のシェアは実に48%に達すると推計されている。
国際再生可能エネルギー機関によると、太陽光発電能力は、2020年日本は世界3位、すでに平地面積1平方メートル当たりの発電量では主要国のなかで最大。
菅直人首相の2011年の説明では「ひと月にコーヒー一杯程度の負担で再生エネ導入が進む」とされていた。
2012年の標準家庭での月当たりの負担額は、コーヒー一杯より安い57円で始まったが、2021年度の負担額は月額870円、年額1万円を超えた。
2020年12月政府の「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」の経済効果は2030年に90兆円、2050年190兆円。
2010年民主党政権グリーン・イノベーションによる環境・エネルギー大国戦略は2020年に50兆円の経済効果、140万人の環境分野の新規雇用創出を謳ったが、何も実現しなかった。賦課金負担による経済へマイナスの影響だけ。
製造が簡単なEVが主流になれば、内燃機関を得意とする日独の優位性が失われ、中国製自動車が世界市場に進出するきっかけにもなるのだ。
モータージャーナリストの岡崎五朗氏
フォルクスワーゲンは不正をやらかし、それを挽回するためにエンジン車やハイブリッドを悪者に仕立て上げ、その一方でいまだエンジン車を涼しい顔で売っている。これはどう考えても正義ではない。
面積当たり太陽光発電容量がダントツ世界一の日本には、太陽光パネルの設置場所がほとんど残されていない。だから森林を伐採してまでメガソーラーを建設している。
作家の川口マーン恵美氏
ドイツでインフレ率が上がっている一番の原因は炭素税だと考えるのが当然かと思うが、どのメディアもそれに言及するのを避けている。
ディ・ヴェルト紙の論考―(再生可能エネルギーへの)壮大なエネルギー転換が(ドイツで)始まった発端は米国。(略)2007年ヒューレット財団(ヒューレットパッカード社の創立者が作った慈善団体)。年間6億ドル投資すれば全世界で110億トンのCO2を削減でき、地球の温度の上昇を2度以下に抑えられると明記。国民に社会問題として定着させることができるか提示され、遠大な脱炭素計画にスイッチが入り、このレポートが世界のマスタープランとなった。
2008年プランを実行に移すために、オランダのデン・ハーグに欧州気候基金が設立。出資者はヒューレット、パッカード両財団、ブルームバーグ、ロックフェラー、イケア財団、ドイツのメルカルト財団など。
(略)ヨーロッパでの気候政策に本当の弾みがついたのは、福島第一原発事故の後だという。
素材メーカー環境・CSR担当の藤枝一也氏
2021年アゴラ言論プラットフォームで杉山大志氏の記事が衝撃的。「ESG投資の旗振り役である欧米金融機関が人権抑圧を無視して事業を進めている」
(略)これらの金融機関と関係を持つことは、間接的に人権抑圧を容認することにつながる。ここに挙がっている金融機関とは、ゴールドマンサックス、ブラックストーン、シティグループ、UBS、JPモルガン
SDGsの前身、2000年国連ミレニアムサミットで採択されたMDGs(ミレニアム・ディベロップメント・ゴールズ)。2015年を最終年とし貧困撲滅など8分類21項目を掲げた世界目標。このMDGsが未達に終わり、17分類169項目のSDGsが誕生。(略)
SDGsの目標達成年とされる2030年の未来を想像すると、SDGsは必ず未達に終わる。断言する。すると2031年以降にポストSDGsが生まれるはずだ。(略)分量が多いほど、内容が難解なほど、クライアントに成果や付加価値が現れないほど、ポストSDGsコンサルタントは儲かり、サステイナブルなビジネスになるのだ。(略)
ほかにも未達から新目標への具体例は、
「京都議定書(未達)→パリ協定」
「生物多様性2010年目標(未達)→愛知目標(未達)→ポスト愛知目標」
事程左様にCSR(コーポレート・ソーシャル・レスポンスビリティ=企業の社会的責任)分野の活動は手を変え品を変え目先を変えることが繰り返されてきた。
※脱炭素計画はできもしない目標を掲げては、やはりできない、しかしもっと難しい新目標を掲げて、またできないの繰り返し。世界的財団、国際金融資本などによる持続可能なビジネスであることがおわかりいただけると思います。
そして、例えば、アメリカは民主党が進めても共和党が押し戻すので、目標達成などできませんが、日本は民主も自公も唯々諾々と難しい削減目標を国際公約しては、国際的優位性の高い内燃機関を持つ国内の自動車産業を潰す<日本のひとり負け>を買って出ているのです。マスコミも含めて愚の骨頂です。
次回は同書の後編をお送りします。
「脱炭素の世界マスタープランは2007年米ヒューレット財団レポート」~ハライター原の名著紹介「SDGsの不都合な真実」前編
<SDGsの不都合な真実 「脱炭素」が世界を救うの大嘘>
編著=杉山大志 著=川口マーン恵美+掛谷英紀+有馬純ほか 宝島社、2021年第1刷発行
ハライター原の名著紹介です。今回は「SDGsの不都合な真実」を前後編で紹介します。まずは前編です。
国守衆兵庫チャンネルで動画を更新しました。ぜひご覧ください。
温暖化防止から気候変動防止へとお家芸のゴールポスト変更をしつつ、このまま化石燃料を使って二酸化炭素を排出し続ければ、地球の環境は後戻りできない危機に陥るというのは大ウソです。大ウソで産業を止めて先進国の富を奪うだけで、後進国に分配するのではなく、新たな金儲けの仕組みをつくろうというのが世界的左翼運動・脱炭素政策の本質です。
二酸化炭素の排出を2030年までに半分に、2050年にはゼロにという先進国の共通目標は狂気の沙汰です。
なにしろ、世界一、二酸化炭素を排出する中国が脱炭素に非協力的ですから、こんな目標は達成されるわけなどありません。結局中国が一人勝ちし、世界一厳しい削減目標をきまじめに守る日本が一人負けする未来しかないことを、読者は気づくでしょう。
筆者別に印象的な記述を紹介していきます。
編著で筆者を代表して序文も書いている杉山大志キャノングローバル戦略研究所研究主幹
CNNディレクターが気候変動を煽ることで儲かるフィアーセルズ(※恐怖は売りになるというマーケティング戦術、私たちは恐ろしい噂を広めるのが大好き)と漏らすところを米調査報道NPOプロジェクト・ベリタスが暴露した。
※「太陽光発電は”屋根の上のジェノサイド”」という小見出しが都知事のパロディ絵のキャプションにもつながっています。
太陽光発電用の結晶シリコンの80%は中国製であるという。そのうちの半分以上が新疆ウイグル自治区における生産であり、世界に占める新疆ウイグル自治区の生産量のシェアは実に48%に達すると推計されている。
国際再生可能エネルギー機関によると、太陽光発電能力は、2020年日本は世界3位、すでに平地面積1平方メートル当たりの発電量では主要国のなかで最大。
菅直人首相の2011年の説明では「ひと月にコーヒー一杯程度の負担で再生エネ導入が進む」とされていた。
2012年の標準家庭での月当たりの負担額は、コーヒー一杯より安い57円で始まったが、2021年度の負担額は月額870円、年額1万円を超えた。
2020年12月政府の「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」の経済効果は2030年に90兆円、2050年190兆円。
2010年民主党政権グリーン・イノベーションによる環境・エネルギー大国戦略は2020年に50兆円の経済効果、140万人の環境分野の新規雇用創出を謳ったが、何も実現しなかった。賦課金負担による経済へマイナスの影響だけ。
製造が簡単なEVが主流になれば、内燃機関を得意とする日独の優位性が失われ、中国製自動車が世界市場に進出するきっかけにもなるのだ。
モータージャーナリストの岡崎五朗氏
フォルクスワーゲンは不正をやらかし、それを挽回するためにエンジン車やハイブリッドを悪者に仕立て上げ、その一方でいまだエンジン車を涼しい顔で売っている。これはどう考えても正義ではない。
面積当たり太陽光発電容量がダントツ世界一の日本には、太陽光パネルの設置場所がほとんど残されていない。だから森林を伐採してまでメガソーラーを建設している。
作家の川口マーン恵美氏
ドイツでインフレ率が上がっている一番の原因は炭素税だと考えるのが当然かと思うが、どのメディアもそれに言及するのを避けている。
ディ・ヴェルト紙の論考―(再生可能エネルギーへの)壮大なエネルギー転換が(ドイツで)始まった発端は米国。(略)2007年ヒューレット財団(ヒューレットパッカード社の創立者が作った慈善団体)。年間6億ドル投資すれば全世界で110億トンのCO2を削減でき、地球の温度の上昇を2度以下に抑えられると明記。国民に社会問題として定着させることができるか提示され、遠大な脱炭素計画にスイッチが入り、このレポートが世界のマスタープランとなった。
2008年プランを実行に移すために、オランダのデン・ハーグに欧州気候基金が設立。出資者はヒューレット、パッカード両財団、ブルームバーグ、ロックフェラー、イケア財団、ドイツのメルカルト財団など。
(略)ヨーロッパでの気候政策に本当の弾みがついたのは、福島第一原発事故の後だという。
素材メーカー環境・CSR担当の藤枝一也氏
2021年アゴラ言論プラットフォームで杉山大志氏の記事が衝撃的。「ESG投資の旗振り役である欧米金融機関が人権抑圧を無視して事業を進めている」
(略)これらの金融機関と関係を持つことは、間接的に人権抑圧を容認することにつながる。ここに挙がっている金融機関とは、ゴールドマンサックス、ブラックストーン、シティグループ、UBS、JPモルガン
SDGsの前身、2000年国連ミレニアムサミットで採択されたMDGs(ミレニアム・ディベロップメント・ゴールズ)。2015年を最終年とし貧困撲滅など8分類21項目を掲げた世界目標。このMDGsが未達に終わり、17分類169項目のSDGsが誕生。(略)
SDGsの目標達成年とされる2030年の未来を想像すると、SDGsは必ず未達に終わる。断言する。すると2031年以降にポストSDGsが生まれるはずだ。(略)分量が多いほど、内容が難解なほど、クライアントに成果や付加価値が現れないほど、ポストSDGsコンサルタントは儲かり、サステイナブルなビジネスになるのだ。(略)
ほかにも未達から新目標への具体例は、
「京都議定書(未達)→パリ協定」
「生物多様性2010年目標(未達)→愛知目標(未達)→ポスト愛知目標」
事程左様にCSR(コーポレート・ソーシャル・レスポンスビリティ=企業の社会的責任)分野の活動は手を変え品を変え目先を変えることが繰り返されてきた。
※脱炭素計画はできもしない目標を掲げては、やはりできない、しかしもっと難しい新目標を掲げて、またできないの繰り返し。世界的財団、国際金融資本などによる持続可能なビジネスであることがおわかりいただけると思います。
そして、例えば、アメリカは民主党が進めても共和党が押し戻すので、目標達成などできませんが、日本は民主も自公も唯々諾々と難しい削減目標を国際公約しては、国際的優位性の高い内燃機関を持つ国内の自動車産業を潰す<日本のひとり負け>を買って出ているのです。マスコミも含めて愚の骨頂です。
次回は同書の後編をお送りします。
国守衆兵庫ch動画更新! アジア市場はロックフェラーの神聖な利害?~ハライター原の名著いろいろ紹介「神聖な利害」尖閣編
ハライター原の名著いろいろ紹介「神聖な利害」尖閣編です。
台湾有事、尖閣有事が、財務省の「財源がないから国を守れない」という増税プロパガンダ目的で利用されている気がしてなりません。
尖閣をグローバル勢力の神聖な利害の観点から考察します。
国守衆兵庫チャンネルでも動画を更新しました。ぜひご覧ください。
過去の新聞記事を検索しました。
1977年6月10日付読売新聞の記事によれば、東シナ海に世界有数の石油があると言い出したのは国連です。「1968年4月国連アジア極東経済委員会が音波探査による地質調査で『世界で最も豊富な油田となる可能性が大きい』と折り紙をつけた」というのです。その後、東シナ海の中でも最も有望とされる海域の鉱区権を持つ日本企業と、その隣りの鉱区権を持つ別の日本企業が音波調査や試掘もしていますが、なんとデータの解析結果を持っているのは、調査に協力した石油メジャー側(テキサコ、シェブロン=元はスタンダード石油の一部ソーカルを経てシェブロンに。さらにテキサコ、ガルフとも合併=、シェル)で、企業機密として非公表とされています。真相はメジャーしか知らないわけです。
米ジャーナリスト、ソニア・シャー「『石油の呪縛』と人類」(集英社2007年第1刷)は、当時石油の枯渇が現実的で、石油市場の大変動、価格が激しく上下する恐怖を指摘しています。そして、「真の埋蔵量は限定的な機密データ」「厳密な数値は極秘扱い」とのことです。
これが印象的でした。
「一九九九年にゴールドマン・サックス社が状況(※前段で新たな開発の事業価値は高まっているが、環境保護運動や怒れる住民との対立などが致命的になりうる)を一言で表現した。石油ビジネスは『死にゆく産業である』」
また、中国の現状については「一九九三年までに自国の石油の大部分が枯渇してしまった中国」としています。
中国がエネルギーの確保に躍起になる状況は変わりませんが、石油ビジネスは死にゆく産業ではなさそうです。アメリカは2018年からシェールオイル(※頁岩層=けつがんそう=にある原油を高圧粉砕技術で採掘する)で石油の大輸出大国となりました。しかし、脱炭素を振りかざして採掘を停止する民主党政権ができたために、ひとたびエネルギー輸出大国ロシアのウクライナ侵攻のようなことがあれば、価格が激しく上下する恐怖が現実のものになりました。かつて石油の枯渇が心配されたのがウソのように石油はたくさんあっても恐怖は生み出せるのです。脱炭素が加速する中で、石油ビジネスも共存し続けるのでしょう。
◇尖閣はロックフェラーの利権
ロックフェラー帝国の陰謀パート1(ゲイリー・アレン著、自由国民社1984年発行)から引用します。
「デイヴィッド・ロックフェラーとネルソン・ロックフェラーが毛沢東の指導する共産主義中国との関係正常化、並びに貿易の確立を要求すると、リチャード・ニクソンとヘンリー・キッシンジャーは、またもやそのために、共和党の綱領とニクソンが公約した一〇〇の約束を破棄したのである。その結果、共産主義中国の虐殺者たちとの間に貿易の門戸が開かれたのだ」
「ニクソンは、北京の人民に対するご機嫌とりがあまりにも唐突であったため多くの批判と注目を浴びたが、その影に隠れて実際全く注意が払われなかったもう一つの事態が進行していたのだ。それは、東シナ海の尖閣諸島で大油田が発見されたという事実であった」
「我々のインサイダーが取り決めた共産主義中国との取引は、アメリカの対ソ連圏貿易と同じ生地から裁断されたものである。対ソ貿易で我々は数多くの譲歩をし、見返りを何も要求していない。多分”彼ら”が今後受け取る見返りの一つは、スタンダード石油の採掘権であろう」
※尖閣は一見中国が居丈高に宣伝する確信的利益に見えます。しかし、ゲイリー・アレンは、党綱領も公約も捻じ曲げられるロックフェラーグループの確信的利益と指摘しています。日本よりはるかに強かな中国が、対中貿易の育ての親とも言えるロックフェラーの権益を踏みにじるとは考えにくいのです。
「セブン・シスターズ 不死身の国際石油資本」(アンソニー・サンプソン著、日本経済新聞社、1976年第1刷)によれば、「シェルの創立者、マーカス・サミュエルはユダヤ系イギリス人。遺産をもとに極東貿易。まず日本を拠点に石炭を貿易するも石油に関心。ロシア皇帝が1873年以降外資の石油探査を認めていた。コーカサスはペンシルベニアより埋蔵量が豊富とみられ、ノーベル兄弟がすでに利権を獲得していた。資金調達でフランスのロスチャイルド銀行に話を持ち込んだ。ロシア産原油でロックフェラーの独占を脅かす。ヨーロッパ市場は分割で合意するも、アジア市場の独占維持にロックフェラーの決意は固かった」
※まさに、アジア市場はロックフェラーの神聖な利害です。
なお、七姉妹の中で、ロックフェラー・スタンダード石油グループの三姉妹は「エクソン(スタンダード・オイル・オブ・ニュージャージー)」「モービル(スタンダード・オイル・カンパニー・オブ・ニューヨーク)」「ソーカル(スタンダード・オイル・オブ・カリフォルニア)」です。残りの四姉妹はアメリカのガルフ、テキサコとイギリスのシェルとブリティッシュ・ペトロリアム(BP)です。その後、エクソンとモービルが合併するなど、トラスト法で解体された石油メジャーは再結集しています。
中国最大のアキレス腱「国際的脱炭素政策で削減努力をしなくても許されている特権」
尖閣武力侵攻のような強硬策でロックフェラーのアジア独占権益を侵せば、得意の国連(※ロックフェラー二世が国連本部の土地を提供)を使った経済制裁、多国籍軍攻撃などあらゆる手段で世界から孤立させ、共産党の崩壊を招きかねません。
国際的脱炭素政策において、世界一の排出国でありながら、<発展途上国リーダー>として削減義務を事実上免除されている中国の特権を奪うこともグローバル勢力にはたやすいことです。
※中国の尖閣威嚇は日本の米国依存度を高める効果がありますから、米国はそこまでは放置するでしょう。しかし、尖閣侵略は「神聖な利害」に触れる超えてはいけない一線です。
前編でご紹介した通り台湾侵攻が当面ないならば、台湾侵攻の足掛かりとしての尖閣侵攻の意味は薄れます。
中国最大のアキレス腱は「国際的脱炭素政策で削減努力をしなくても許されている特権」をはく奪されることだと考えますので、国際的批判を受ける武力侵攻には相当の理由がなければなりません。さらに、武力侵攻があれば、せっかくまどろんでいる日本人も目覚め、土地、企業の爆買いなど具体的に進行しているサイレントインベンションの妨げになります。
だからと言って、武力侵攻や国防動員法による移民の蜂起がないとは言いません。最も可能性が高いのは、「先住民・アイヌ」を倭人から解放するという北海道アイヌ自治区構想ではないでしょうか。フェイクで伝統国の共産化が進むことはグローバル勢力の好みの手法です。全道ではなくても、例えば、根室市を自治区にできれば、根室を日本側の玄関口とする日露天然ガスパイプライン計画を潰して、グローバル勢力と中国の利害が一致する日露分断(※現状はウクライナ侵攻で十分分断されていますが)も叶います。一都市を足掛かりに日本の食糧庫・北海道が強奪されれば、チベットやウイグルと同じ運命が待っていることは言うまでもありません。
もちろん、南海トラフ地震など大災害時のどさくさに国防動員法を発令することもあるかもしれません。
先週今週とグローバル勢力の「神聖な利害」についてお届けしました。
異論は多々あろうかと思いますが、あくまで個人的な考察です。