陽謀日記

陽謀を明かします

「日本はファイブ・アイズの下のB層。監視もされる限定協力国」~ハライター原の名著紹介・スノーデン関連2作品「独白」と「暴露」後半  

「スノーデン独白 消せない記録」(エドワード・スノーデン著 2019年 河出書房新社

「暴露 スノーデンが私に託したファイル」(グレン・グリーンウオルド著 2014年 新潮社)

 

左が「告白」右が「暴露」、核の傘などないに等しいと知る

を紹介しています。今回はその後半です。

 

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人権派弁護士で英ガーディアン紙のコラムニスト、グレン・グリーンウォルド記者の「暴露 スノーデンが私に託したファイル」(2014年、新潮社)を見ていきます。

ここにも日本へのインフラ攻撃の話は出てきませんが、日米同盟への信頼感を大いに覆すものがありました。アメリカが信頼する国は、NATOでも日米同盟の日本でもないのです。

スノーデンが持ち出しグレン・グリーンウォルド記者に渡した機密データから、アメリカの大量監視はファイブ・アイズ(アメリカ、イギリス、カナダ、オーストラリア、ニュージーランド)では共同作戦で、イスラエルとは情報共有関係にありますが、日本はまったくの蚊帳の外とわかります。協力関係も一部ではしていますが、ほとんどは監視対象です。

<「日米関係」とは何だったのか>でも紹介しましたが、「いつでも裏切れる」同盟関係という考えを改めて強くしました。

 

衛星通信傍受の計画について2010年GCHQ(英国の諜報機関)がファイブ・アイズの年次総会で使った極秘資料。米英、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドのほかは蚊帳の外を意味します。ただし、ファイブ・アイズのほかで特異な地位を占めるのがイスラエルです。

ファイブ・アイズの同盟各国は、ほとんどの監視活動を共同でおこない、さらに一年に一度開かれる信号開発会議で一堂に会し、諜報技術開発の進捗と前年の成功を自慢し合う。

NSAとして異例、アメリカ国民の通信記録を含む生の情報を日常的にイスラエル側に提供している。

イスラエル通信情報国民部隊(ISNU)

三沢基地

2009年NSAミッション運用技術責任者が書いたメモでは三沢にある諜報施設における運用能力の高さを褒め称えています。MSOC(三沢安全保障作戦センター)です。もちろん日本であって日本ではありません。

NSA自身のファイル2010年のリストによれば、相手国の通信データを得たアメリカの通信会社がNSAのデータベースに転送するプログラムの標的に日本がなったこともある。

ファイブ・アイズ各国(包括的協力国)に次いでNSAと協力関係にあるB層(限定的協力国)。特定の活動に協力する国であると同時に、求めてもいない監視をされている国でもある。B層は日本。

2012年度「海外協力国総括」ではNSAから資金援助を受けた国のひとつ、日本。

国際安全保障問題ISIを担当するNSAのグローバル・ケイパビリティ・マネジャーが2006年に作成した連絡票に、日本への経済および貿易スパイ活動をしていることが明確に記されています。

イラン核開発について制裁の賛成反対どちらに投票するか信号諜報の対象国のひとつが日本でもありました。票読みをスパイしていたわけです。

外交的スパイ活動のために近しい同盟国の多くの大使館や領事館にもアクセス。文書55には日本でも4か所のアクセスポイントが(具体的には、LAN埋め込み装置から、埋め込み装置から、磁気放射センターから、コンピューター画面から)あった。

日本が使わせてもらっているのが、Eメール、閲覧履歴、検索履歴、チャットを収集、管理、検索するための要となるプログラムでリアルタイム監視すら可能だそうです。

 

スノーデン自伝でもグレン・グリーンウォルド著作でも共通していたのが、監視の概念の核心として、「人々の幸福の合計が最大になるように努力する」功利主義を体系化したジェレミーベンサムが生み出した”一望監視装置パノプティコンを指摘していたことが印象的です。一望監視装置とは、監視システムが効果的に人を統制できるのは自分の言動が監視されているかもしれないという認識を人々に植え付けるからということです。

功利主義をもう少し説明すると、「一部の人の快楽を削ることによって他の多くの人の快楽を増加させられるならば、コミュニティ全体の効用を増大させることになり、それは正義である」ですが、人間の尊厳、個人の自由が無視されているとの批判が多いです。

以前、名著紹介「子宮頸がんワクチン事件」で、命のコストパフォーマンス(※極めて唯物論的なことばです)という予防接種の根底思想として著者が指摘していた人物です。

両著を読んで率直な感想は、大半が監視されている意識が乏しい中での全望監視が実現しているとしか思えません。

両著の警告を真摯に受け止めなければ、

ビッグブラザーがいつどこでもあなたを見ている」という

民主主義とは程遠い全体主義専制主義しか我々の未来にはありません。