陽謀日記

陽謀を明かします

単独犯か複数犯か 安倍元首相暗殺事件の真相を究明せよ前編~ハライター原の名作紹介オリバー・ストーン映画「JFK」

安倍元首相暗殺事件は現時点でもケネディ暗殺事件との共通点が多いです。

被害者は選挙を経た最年少大統領と戦後最年少総理大臣。おふたりとも国民的人気がありましたが、敵も少なくありませんでした。

世界中にテレビで生中継されたオープンカーによる大統領パレードも、数々のSNS動画が残された元首相による参議院選挙応援演説も、衆人環視の下、見せつけるかのような「明殺」でした。

シークレットサービスの不在と、背後がら空きという異常に手薄な警備も共通し、ケネディはパレードのルート変更、安倍さんは演説先の変更もありました。さらに、今年4月中旬にはUターンを可能にする道路改修工事により北側のガードレールエリアが撤去され、背後を通れる今回の南側のガードレールエリアのみになっていました。

第一容疑者は元海兵隊員、元海上自衛隊員で二人ともすぐに拘束されます。殺害動機や経歴も即座にメディアに流れました。そして単独犯説が主流となります。

さまざまな共通点がある中で、特に注目したいのが被害者の傷跡がどこからつけられたか、です。

安倍元首相暗殺事件では、奈良県立医大奈良県警の発表に食い違いがあります。

8日午後6時すぎ奈良県立医大会見「銃の傷は首のほぼ中央部分と、5センチほど右側の2か所にあり、体内に2発の弾丸が入ったとみられる。心臓の壁に穴が開いており、1発が心臓に達していた。左肩の前部にも傷があり、首から入った弾丸が貫通していった可能性がある」

8日午後9時半奈良県警刑事部長ら会見「検視で左肩銃創1か所、前頸部に楕円形の銃創2か所を確認。死因は司法解剖結果をもとに判断します」

9日奈良県警司法解剖結果公表「左上腕部から体内に入った銃弾が、左右の鎖骨下にある動脈を損傷したことが致命傷になった。死因は失血死だった」

※弾丸が入ったのは首からか肩からか医大と県警の見解は正反対です。

日本文化チャンネル桜の番組で近現代史研究家の林千勝さんが「右首の傷は安倍さんが振り返っていても背後の銃撃でつけることはできない」と解説していました。まったく同感ですし、首の中央に当てることすら難しいでしょう。のどから心臓へと銃弾が動いていることから、前方かつ上から下への銃撃の可能性も高いでしょう。

 

JFK」を丹念に見直してみました。オリバー・ストーン監督の1992年作。3時間25分の大作。ケビン・コスナーが演じたジム・ギャリソン地方検事は本作で真相究明調査した委員会委員長の連邦最高裁長官アール・ウォーレン役で出演するという皮肉がこめられています。

 

映画の後段がクライマックスです。CIA局員をケネディ暗殺の共謀罪として訴えたルイジアナ地方検事役のケビン・コスナーが行う最終弁論です。常識があれば、ケネディ暗殺事件は、おざなりのFBI捜査、おざなりのウォーレン委員会調査によって謎多き事件になったことがわかります。

下の絵は2枚とも映画の1シーンで検事が差し棒で示す「魔法の弾丸」の動きです。

⑦は知事の太ももへ再突入し貫通。無傷の弾丸は病院の担架の上で発見されたという

約60年前《民主主義の兄貴たる国》で「魔法の弾丸」がまかり通った


ウォーレン委員会が単独犯説に拘泥した結果、報告書によれば、ケネディを後方から狙ったオズワルドが5.6秒で発射した弾丸3発はケネディに3つの傷、コナリーテキサス州知事に5つの傷を負わせたとします。しかし、1発目をはずし、2発目はケネディの頭部を撃ったほかに7つの傷を帳尻合わせするために、絵のような体内に出たり入ったり空中で待機したり、左から右へ、上から下へと摩訶不思議な動きを繰り返し、検事は「魔法の弾丸」「たいした弾です」と言います。

 

事件から5年後発掘された資料映像「ザプルーダー・フィルム」の実写で、次のような流れがわかります。

▽1発目 はずす→▽2発目 前方からケネディのノドが撃たれる→▽3発目 ケネディは背中を撃たれ前にかがむ。知事は帽子を持ち振り返る。手はまだ撃たれていない→▽4発目 ケネディをはずし知事の背中へ。知事が「皆殺しにされる」と叫ぶ→▽5発目 はずす→▽6発目 前方からケネディの頭部に命中し、左後ろへのけぞる

3方向、後方の教科書倉庫ビル、近くのダルテックスビル、前方の芝生の丘に配置された3チームによる交差射撃という複数犯説を8ミリフィルムのフレームごとに常識的に説明したうえで、「ケネディは政府の最高レベルの陰謀で暗殺された」と検事は言います。しかし、裁判は共謀したというCIA局員を有罪にはできませんでした。

 

常識を働かせるならば、安倍元首相暗殺事件でも、背後の単独犯にこだわるのは敵の思う壺です。安倍さんが演説していた前方のビルの窓が開いた高層階や屋上等の捜査は欠かせません。今からでも周辺のあらゆる監視カメラを確認すべきです。また、近くにいた人たちも例外なく調べなければなりません。薬莢を残す、あるいは回収する、手を下す、といった工作の恐れがあるからです。

 

次回は動機について考察します。