陽謀日記

陽謀を明かします

国守衆兵庫ch更新 「いざ鎌倉」にアタフタの「薄利多売」 病床数、CT、MRI保有数世界一誇れるの?~名著紹介・「日本の医療の不都合な真実」後編

ハライター原の名著紹介・「日本の医療の不都合な真実」後編

森田洋之著、幻冬舎、2020年第1刷

国民必読書 「日本の医療は世界最高レベル」というウソから目覚めます

 

国守衆兵庫チャンネルで動画を更新しました。ぜひご覧ください。

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これはみなさんの誤解です。

プロパガンダに基づくみなさんの誤解

 

不都合な真実は次の通りです。

すべての誤解はひっくり返ります

 

森田医師はこう指摘しています。

<日本の医療は1980年代の「医療費亡国論」以来、「いざ」というときに機能しない体制を自ら作ってきたとも言えるのです。この「薄利多売」の世界観は、日本の医療業界では「空気」のようでほとんどの医療従事者に自覚されていない。>

※多くの民間病院が欧米の先進国にはないMRIやCTを導入し、診療報酬が低くてもないよりましと満床を目指す経営に走っている。人口あたり病床数は世界一だが、医師数は多い方ではない。新自由主義が行き渡り、医療のメーンターゲットが高齢者の生活習慣病になっているところに、緊急事態が起きたわけです。日本の場合はゴジラではなくジャガーでしたが。患者が自由に病院を選べると思っていたら、「いざ鎌倉」には、緊急用に差し出す病床はなく、救急車のたらい回しも頻発する硬直した医療体制だったというわけです。

 

<病床数世界一は誇れるのか?>

日本には約160万の病床があり人口あたりで見たときダントツで世界一。イギリスやデンマークの約5倍の病床数。ところが流行病対策病床として使用できたのは全国で3万1000床(2020年7月10日時点)、約1.9%

 

病床数を増やしてきたのは日本、中国、韓国などごく一部。そういう意味で日本は世界全体の大きな流れから外れている。病床を増やしたことで平均寿命が延びたわけでは決してない。

 

「病床が少なくても、寿命や健康を上手に維持できる」

長野県は病床が少ない方の県ですが、平均寿命は男女ともに当時日本一。

日本で一番病床数が少ない神奈川県でさえ、アメリカ、イギリスの約3倍

日本が世界一なのは、病床数だけでなく、CT、MRIの人口当たり保有台数も、日本は世界で第2位を大きく引き離して1位

OECD加盟国の病床数と医師数>のグラフから

病床数は日本が世界一、2位は韓国

医師数はオーストラリアが世界一、日本は27位

 

外来受診数も日本は世界2位

 

病床数は減らせない→診療報酬単価抑制→患者を集める薄利多売に

「診療報酬が低くなるのなら患者と受診回数を増やさなければ」という裏の顔。

生活習慣病の毎月受診で受診回数を稼ぐ

 

<イギリスは患者の選択の自由度は低いが、満足度は高い>

イギリス国民は自分たちの医療制度に対して大変な誇りを持っています。NHS(ナショナル・ヘルス・サービス)という公的機関があります。イギリスの国家予算の25%がNHSに配分されているそうです。「イギリス国の誇りは?」というアンケートでは、王室やサッカー、軍隊など様々な回答がある中、ナンバー1はNHSなのだそうです。

 

NHSの代表はプライマリ・ケア医。日本ではすぐに開業できるが、イギリスでは若手医師の半数が3年間のプライマリ・ケア医の研修で「全科診療」「人生に寄り添うスキル」を学びます。クリニック自体に入院施設はなく、日本のようにCTやMRIなどが装備されているところはまずありません。レントゲンや胃カメラすらほぼなく血液検査ができる程度。国民はどこかのプライマリ・ケア医に登録し、プライマリ・ケア医の紹介なしに総合病院には行けません。患者側の選択の自由度は日本よりかなり低いと言えます。日本ではどの病院でも自由に受診できますが、日本人の医療への満足度は高くありません。

 

<日本の精神科病床数の多さは異次元レベルの世界一 イタリアは精神病院の入院がほぼゼロ!><入院ターゲットは長期入院と不適な認知症患者>

日本の精神科病床数の多さは異次元レベルに突出して世界一。あまりにダントツすぎて世界各国からそのデータの信ぴょう性を疑われるほど。イタリアなど先進国の中ではそもそも精神病院の入院がほぼゼロの国もある。

精神科病院の多さは日本の世界一の病床数に大きく貢献している。

昨今若年層の精神科疾患が減っている。精神科病床が埋まらくなっている。病床を埋めるために、精神科病院の空き病床対策として「長期入院の容認」と「増える認知症患者」がある。

「入院患者一人当たりの平均入院期間」も日本が世界一

診療報酬は低く設定されているが、ないよりはましで、家族も長期入院の方が助かる背景。

 

<ここが変だよ 日本の医療> 

海外の医療から見ると、「日本の医師が1日100人の外来患者をさばき、何十人もの入院患者を診て、救急当直の翌日に外科手術を行っているというブラックな現実」こそ異常。街中に所狭しと病院の看板が掲げられているのを外国人は警察の看板くらいの違和感を感じる。

 

イギリス、フランス、ドイツなど多くの先進国では、「医療」は公的存在。救急はすべての患者を受け入れるし、そのために必ず病床の何割かを空けて確保している。病床数は世界一にもかかわらず、各病院が満床を目指しているため救急車を受け入れる余裕がない(いわゆる救急車の「たらい回し」)事例が発生する日本とはだいぶ違います。

 

日本で病院・病床が多いのは、現代の高度医療でも解決しない「老」や「死」を医療に依存しているから。日本人の死に場所は8割が病院。アメリカは4割、オランダは3割

 

入院治療の必要がない社会的入院は、一般病床に入院中の高齢患者の3分の1(約17万人)、療養病床に入院中の高齢患者の2分の1(約15万人)→※合計約32万人