陽謀日記

陽謀を明かします

国守衆兵庫ch動画更新! ハライター原の名著いろいろ紹介「神聖な利害」クリミア、台湾編

百聞は一見に如かず

<毎月8日はグローバル事件>とこれまでお伝えしていますが、11月8日に、米中間選挙のほかに「エヴリン・ド・ロスチャイルド卿91歳で死去」という大きなグローバル事件が起きていました。皇太子時代のチャールズ英国王と撮影された小生の似顔絵のような写真で知られ、「知られざる世界権力の仕組み」(ユースタス・マリンズ著、成甲書房、2017年第1刷)では「世界を支配している『五人会議』(※ひとつ空席のため4人)のメンバーのひとり」と名指しされ、現存する最後のメンバーでした。上海閥のドン江沢民国家主席の死去とも合わせて、世界の権力構造は大きな地殻変動を起こしているかもしれません。

さて、今回は名著いろいろ紹介「神聖な利害」です。

 

国守衆兵庫チャンネルで動画を更新しました。ぜひご覧ください。

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国際金融資本やエネルギーメジャーの利権に、「神聖」「犯すべからず」といった形容詞がそれを護る側(例えば、ウィルソンからケネディまでの大統領経済顧問のバーナード・バルーク)にも、それを批判する側(例えば、外交と石油メジャーの癒着を追求したフランク・チャーチ民主党上院議員)にも使われます。国益にすら使わない神聖ということばを、コンスピラシー・陰謀と語源の似たカンパニー・会社は平然と使うのです。

ロシア、ウクライナを分断したのは誰か

 

クリミア半島ユダヤ人の利権

2004年オレンジ革命、2014年ウクライナ危機(マイダン革命)、2022年ロシアのウクライナ侵攻等、ウクライナを隠れ蓑にロシアの市場開放を迫るグローバル勢力がクリミアに執拗にこだわる理由がわかりませんでした。その謎を解いてくれたのが、馬渕睦夫ウクライナ大使著の「世界を操る 支配者の正体」(講談社、2014年第1刷)です。

引用します。

「1944年、ナチスドイツとの戦争の最中、反ファシストユダヤ委員会の指導者でソ連の高名な舞台芸術家ソロモン・ミホエルス(1890年~1948年)などユダヤ系ロシア人たちが、クリミア半島ユダヤ人の自治共和国にするようスターリン共産党書記長(首相)に訴えたのです。(中略)この訴えはソ連の最高意思決定機関である共産党政治局において議論されました。政治局員のカガノヴィチ(ユダヤ系)やヴャチェスラフ・モロトフ(反ファシストユダヤ委員会のモロトフの夫、1890年~1986年)などの支持はありましたが、スターリンはこの提案を拒否しました。(中略)この提案の背後にアメリカのシオニストの影響を見たのが原因であるとして、ヨシフ・スターリン(1878年~1953年)はクリミアにユダヤ人国家を作ることによってソ連の安全に直接の脅威となるアメリカ帝国主義の前哨を打ち立てようとしていると非難したと、フルシチョフは回想しています(ニキータ・フルシチョフの回想録)」

※温暖な楽園となりそうなクリミアでのユダヤ人国家を簡単にあきらめるとは思えません。

朝鮮戦争の対中政策に批判的なマッカーサーに「精神的におかしくなった」と攻撃しています。今とそっくり

※1948年にはバルフォア宣言を受けてイスラエルパレスチナに誕生しています。ディーン・アチソン国務長官回顧録(恒文社、1979年第1刷)では、トルーマンイスラエル建国にかける熱意を皮肉交じりに書いています。

 

「大統領になったほとんど直後、トルーマン氏は、世にも稀なる善意をもって、あの途方もなく困難な国際的な謎――ユダヤ人のための故郷をパレスティナに建設するという――に取り組んだ。不可避的に私は大統領の後からそのなかに巻き込まれた。(中略)熱烈なシオニストのエディ・ジェイコブソンによって植え付けられたものであることを知っている」

シオニスト運動は各国でユダヤ人の権利を擁護するものですから、グローバリストととの対立構造ではありません。本質は同じであると考えています。

 

古本屋でもなかなか見つからないと思いますが、私は複数市の図書館を探し、見つけました。朝日がわずかな罪滅ぼしにも再発行すればいいのに



◇台湾は誰のもの?

マッカーサー回想記下巻によれば、

「一九五〇年一月十二日、アチソン国務長官はワシントンのナショナル・プレス・クラブでの演説で、台湾は『わが防衛線』の外側にあると言明し、また韓国も米国の防衛線から除外するような言を述べた」と記載されています。

有名なアチソン演説ですが、アチソン回顧録によれば、アチソン演説の一週間前に「(トルーマン)大統領は、合衆国政府は台湾を何らの条件なしに中国領土たりとみなすことを宣言した」とし、紙幅を費やして「大統領の指令」であったことをことさらに強調しています。

 

今や百歳近いキッシンジャーが当時は50歳代、彼が動いて密約がないわけない



キッシンジャー回想録 中国」(岩波書店、2012年第1刷)によれば、一九七五年一〇月二一日の毛沢東キッシンジャー会談で、以下のやり取りが明らかにされています。

毛 それ【台湾】はあなた方が持っていた方がよい。もしあなた方が今それを返還しようとしても、私は欲しくない。なぜなら、それは好ましくないからだ。あそこには、あまりにも多数の反革命分子が存在する。今から一〇〇年したら、われわれは欲しくなり(手振りで示しながら)、そのために戦うことになるだろう。

キッシンジャー 一〇〇年後ではないでしょう。

毛 (手振りで示しながら、数える)五年、一〇、二〇、一〇〇年。難しい。(天井を指さしながら)私が神に会いに天国に行けば、台湾は現時点で米国の世話になっている方がよい、と神には言う。

アメリカと中国が台湾を押し付け合っているかのようです。毛沢東がいらないというものを習近平が取りに行っても、毛沢東を超えるどころか並ぶこともできません。

また、少なくとも現在は、ナンシー・ペロシ前米下院議長の訪台によって、台湾のTSMCもグローバル勢力が産業の米、半導体利権を手放さない(中国との持ち分比率はわかりませんが)ことを示唆しました。

 

以上のような理由で直近では、台湾の武力侵攻は難しいのではないかと考えます。

 

しかし、日本への武力侵攻は絵空事とは思いません。なにしろ、米ロ中北朝鮮の核保有国に囲まれ、国連の敵性国家であり続ける丸腰の国なのですから。

アチソン演説で台湾とともに「防衛線の外」であった朝鮮半島では同じ年に朝鮮戦争が勃発し、中国は介入しています。また、同じ年に中国はチベットを侵略しています。

 

アチソン演説のような米国の高官によるこの手の発言を注視する必要があるでしょう。日本にとっての「韓国(朝鮮半島)」「チベット」はどこでしょうか。

 

次回は「神聖な利害」尖閣編です。