陽謀日記

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大阪市民は大阪市が嫌い? 維新が大阪市の身を切る改革中~維新ニュース「維新の本性と手口」後編

参考図書;「大阪市の教育と財産を守れ!」(幸田泉著、アイエス・エヌ株式会社2022年4月発行)

維新の大阪市売りがよくわかる

維新ニュース「維新の本性と手口」後編では大阪市の教育と財産を守れ!」を取り上げ、大阪市立高校の土地建物が大阪府に無償譲渡された一件から、維新の本性と手口を深掘りします。

 

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では年表で再度示しましたが、「大阪市をむしり取る」べく見事に当選した橋下大阪新市長は2015年、大阪バイオサイエンス研究所という市有財産を「普通財産は、特に無償とする必要がある場合に限り国または公法人に譲渡できる」とする市財産条例16条理化学研究所に無償譲渡しました。翌年は市立の特別支援学校12校を同じ理屈で大阪府に無償譲渡しました。「市長の裁量の範囲」がひな型となり、さすがに大事の高校移管なので、市立高校は廃止すること、大阪府が以後運営することはそれぞれ府市議会の議決が追加され、今春大阪市立高校21校(中高一貫校の中学2校を含む)が大阪府に無償譲渡されました。

住民監査請求や住民訴訟で住民側が問題視したのは、府市議会が「無償譲渡」については議決をとっていないことなどいくつかの法律に違反する疑いです。しかし、大阪地裁の裁判長は「地方財政の健全性を害するとは言えない」「一定の公共性、公益性が認められる」「議決がされたと評価できる」と次々原告側主張を退け、維新政策を全面的に忖度した格好となりました。

 

同書には、「『高校移管』が議論となった頃から、吉村知事と松井市長は高校をただの『不動産物件』としか見ていないと感じていた」とあります。

広域一元化による効率的というメリットは漠然としています。また、「高校教育から撤退した市の一般財源の規模は110億円も縮小する」というデメリットは市民に知らされませんでした。しかし、不動産を優良物件にする仕掛けは巧妙で具体的です。

2012年松井大阪府知事のもと、大阪府立学校条例が改正され、2条2項に「入学を志願する者の数が三年連続して定員に満たない高等学校で、その後も改善する見込みがないと認められるものは、再編整備の対象とする」というスリーカウントアウトの<3年ルール>が導入されました。これで府立学校が今後も容赦なく再編・統廃合されます。廃校となれば、売却可能です。

すでに明け渡された旧市立高校跡地の大半が優良物件となったのです。

 

写真大阪市中央区谷町6丁目にある市立大阪南高校跡地と校舎です。

土地、建物が大阪府に無償譲渡された旧大阪市立南高校

次の写真の通り、南高2、3年生らは市立扇町総合高校跡地に新設された大阪市北区松が枝町の府立桜和高校舎に通っています。

新設大阪府立高校と旧大阪市立3高校が共存する

新たな府立高校は今後も3年ルールに縛られ、再編の組み合わせが増えました。優良物件予備軍と言えるでしょう。

そもそも、定員は恣意的で下限ではなくむしろ上限と見てもいいわけです。少々下回って何がいけないのかと思いますが、公おおやけを敵視する新自由主義者らしい考え方です。

府が市にあげたものもあります。同書には「2015~2018年府営住宅1万2000戸を市に移管(台帳価格2000億円)」とありますが、誤解を恐れずに言えば、不良債権の処理と言えます。

※高校は統廃合すると立ち退き交渉一切不要、公営住宅はそうはいかない。「あげるばっかりではない」のレトリックに使われているに過ぎない。

 

維新の政策は金目が第一で心がありません。大阪市立高校の土地建物台帳価格で約1470億円のただ捕りもさることながら、無形財産のノウハウもあっさり捨てるところが特徴です。

本書に東淀工業高校の教諭のインタビューがあります。

「うちは定員割れしていますけど卒業時の求人はすごいんです。今年の3年生は88人でしたけど企業から1000件以上の求人がありました。うちを指定した求人も300件以上です」「求人を出す企業と話をすると、定員割れも統廃合計画も知らない。『工業高校の卒業生が減ると、人材倒産する中小企業も出てくるだろう』って言われます」

定員割れしていようが、3年かけて立派な即戦力を養成してきたことがわかります。府立は普通科、市立は商業や工業という高等教育の棲み分けがされていたのが大阪府市の高等教育の歴史です。

地方交付税が激減するトリックを示した立命館大・森裕之教授は大阪府市と事業者間のIR基本協定書も分析しました。「事業者に極めて有利な内容。夢洲の軟弱地盤改良、汚染土の搬出、交通インフラ整備などに徹底的に奉仕させられるだろうと指摘」しました。

維新の首長を選び続けたツケはさらに膨れ上がるでしょう。

最後に、住民訴訟に関わっている人や同書の著者もリベラル派と思います。

あの前川喜平氏に無償譲渡の是非についてコメントを求めたり、昭和天皇御真影をバーナーで焼き、踏みにじったトリエンナーレの大阪会場が利用承認を取り消した件について、利用承認取り消し処分の執行停止申し立てを認めた当の大阪地裁裁判長に「行政に忖度しない」と今回の住民訴訟にも過度な期待を寄せたりするなど、首をかしげる点はありました。

筆者は維新を何か原理原則にだらしない保守と考えているふしがあるのが残念です。何度も言いますが、維新は新自由主義を追求する革命志向の政党です。真っ当な保守の存在を知ってください。