ハライター原のライブ塾まとめ「思わず話したくなる昆虫食・食の歴史」
※タネ本は「昆虫を食べる!」(2016年発行、洋泉社)と「食の歴史」(2020年発行、プレジデント社)
FAO(国連食糧農業機関)は2013年昆虫を食料、飼料として推奨しました。タンパク質を豊富に含み、栄養価が高く、環境にも低負荷であると宣言されましたた。これを境に、昆虫食は飢饉への切り札との報道が盛んになりました。昆虫料理のレシピや栄養価の分析など盛りだくさんです。
日本の農業はイネ文化であり伝統食でした。
昆虫食を大いに尊重する立場の本で、これは文化として大いに尊重します。しかし、それは知って食べているのです。知らずに食べることは気に入らない。環境にも低負荷というところを主張し、飢饉という恐怖を煽ろうとしているのではないか、その点が気に入らない点です。
日本伝統の昆虫食を具体的にみていきましょう。
「広く食べられたイナゴの佃煮、木曽名物のイナゴ汁、長野県ではイナゴ味噌」「かつてイナゴ捕りは秋の風物詩でもあった。イネの刈り入れが一段落した10、11月イナゴを捕るのはこどもたちの仕事。小さな子供が祖父や祖母のまねをしてイナゴを追い、世代間のコミュニケーションを図る場でもあった。遊びとなりわいの中間のような存在だった」そうです。
「江戸期から食べられている伝統的昆虫食のハチの子は、煮つけや混ぜご飯、ちらしずし、チャーハン、だし巻き卵などにして食べられる。ハチの子の佃煮をご飯と混ぜた調理は、昭和天皇の好物として知られ、1987年陛下が手術を受けられて食欲がなくなったときでも、ハチの子をまぶした麦ごはんは召し上がったと言われている」
マッカーサーは自伝や上院外交委員会で「日本には石油などの資源がなく養蚕業しかなかった」と言いましたが、「カイコ食も養蚕業とともにあった」ということです。カイコの蛹サナギは糸を巻き取った後は産廃なんですが、これが高たんぱくの食料になっていたそうです。
ここで豆知識。そもそもカイコはクワコという野生のガを飼いならし品種改良したものです。小さな家畜なんですね。
日本だけではなく、カンボジアでは毛をむしってタランチュラを食べるそうですが、各国の伝統に根ざしていると思います。これも食文化として尊重します。
しかし、国際機関には国や国境を大切にする思想は微塵もない。だから、うさん臭いものを感じざるを得ないのです。
ジャック・アタリの「食の歴史」という本から食の知識を抜粋しましょう。
昆虫食にとどまらず、食、食糧というものがいかに大事なのに、私たちが何も知らないかを気づかせてくれます。
▽1834年までイギリスの茶葉貿易を独占した東インド会社は、中国の茶の苗と栽培技術を盗み、インドに茶の加工所をつくった。1870年茶のイギリスへの供給源は中国50%が、1900年インド90%に。
▽パリの調剤師助手が医師の力を借りて、ボルドーワインにペルーのコカの葉を漬けた調合薬を開発。「マリアーニ・ワイン」という名のエリキシル剤は効用ありと医学界が積極的に処方。
▽アメリカでは南北戦争後の急速な工業化で神経衰弱が登場。アヘンやコカインを成分とする奇跡の薬が出回った。
▽コカ・コーラのはしりは、コカイン入り
▽1885年モルヒネ中毒の薬剤師ジョン・ペンバートンがアルコールを禁止されたとき、すでに人気のマリアーニワインに着想を得て、ノンアルのフレンチワインコーラを開発。コカの葉とコーラの実(コラノキの種子)も含まれていた。
▽1886年ペンバートンは調合法を少し変えてコカ・コーラとして商品化。1904年成分表示からコカインの名前が消えた。コカ・コーラの成分は今日でも公表されていない。
▽アルコール、肉、香辛料、性行為は健康に良くないと説いたグラハム牧師を信奉したのが医学博士ケロッグ。患者に「魂の安楽のため」味気のない食物の摂取を命じた。弟と一緒にケロッグ兄弟はパンの代用品コーンフレーク(シリアル)を開発。ケロッグ博士は、コーンフレークは自分の患者の消化不良の治療と性欲を減退させるための薬になると確信した。
今日、コーンフレークの消費者のうち、コーンフレークが性欲を減退させるために開発された食品であることを知る者はほとんどいない。
▽1946年電子レンジ登場。世界が平和になったため軍事産業は軍事テクノロジーを民生利用しようとしていた。レイセオン社(軍需製品メーカー)の技術者パーシー・スペンサーは作動中のマグネトロン(戦時中、短距離レーダーに使用するためのマイクロ波を発生させるために利用された)の前に立っていると、ポケットの中のチョコレートバーが溶けていることに気づいた。スペンサーは食品を加熱するためにマイクロ波を利用するというアイデアで特許を取得し、史上初の電子レンジ「レイダレンジ」を発売した。
ブログ主註→トマホーク、パトリオットを開発したミサイル世界トップメーカーです。さらに筆頭株主はバンガード
▽レーニンは飢饉をきっかけに農民が団結し始めたのを見て喜んだ。飢饉は「敵の頭をぶん殴る」のに役立ち、1917年権力を掌握。
ブログ主註→フランス革命も遠因は飢饉。裏を返せば、飢饉を起こせば革命のきっかけができるということです。畑に塩をまいたらどうなりますか?
▽20億人以上の人々がおよそ2000種類の昆虫を日常的に食している。
▽ヨーロッパでも昆虫は無意識に食されている。2010年オランダの昆虫学者マルセル・ディックは、ヨーロッパ人は年間500グラムから1キログラムの昆虫を食べているのではないかと推測した。果物や野菜が原料の食品(ジュース、スープ、缶詰など)に昆虫の痕跡が隠されている。たとえば、キャンディ、ケーキ、タラマ(魚卵ペースト)、コカ・コーラなどの食品添加物の着色料E120は、南アメリカのコチニールカイガラムシから抽出されるコチニール色素からつくられている。
FAOがまた出てきます。
▽1963年FAO国際連合食糧農業機関とWHOが作成した食の安全に関する規格「コーデックス・アリメンタリウス(食品の国際規格)」では、販売用の小麦粉や穀物に昆虫が混入してはいけないと定められている。ただし、総量の0.1%の混入は許容。
▽2018年8月、人工肉開発のパイオニアベンチャー「メンフィス・ミート」は、ビルゲイツやイーロンマスクが投資。
▽2016年ディプロプテラ・プンクタータというゴキブリの新種が見つかった。牛乳よりも栄養価が高い乳のようなものをつくり出す。この胎生昆虫は非常に栄養価の高い分泌物を生成する。この成分は人為的に合成でき、新生児用の新たな食糧になるのではないか。
▽2018年3月、ウォルマート社は、蜂ロボットの開発に関する特許を取得した。
食の歴史を振り返ると、知らずに昆虫を食べていることなど知らないことが多いことを知ります。飢饉が革命の一因であり、電子レンジが軍事テクノロジーのたまもので、トマホークミサイルメーカーが開発しました。コーンフレークは性欲減退のためにつくられ、コカ・コーラは昔コカインが入っていて、今は入っていないだろうが、成分は非公開。
栄養価高いし、環境にはやさしいし、昆虫食はいいことづくめでしょうか。今振り返ったように私たちに公開されている情報は正しいのか、すべてなのか。
「お前ら庶民は昆虫だけ食っとけ」という時代が来ないことを祈って第二回目のライブ塾を終わります。