来月積極PR再開、その前に立ち止まろう、わが子孫のために~ハライター原の名著紹介「子宮頸がんワクチン事件」
「子宮頸がんワクチン事件」(斎藤貴男著、集英社インターナショナル2015年刊)
動画配信においては、あらゆるワクチンへの論評がバンの対象という話(バン対象にすること自体、語るに落ちています)があり、同書のワクチン効果・副作用への考察については話すことを控えました。
ただ、ワクチンへの抵抗感が薄れたタイミングに乗じ、今年4月から自治体による積極勧奨が再開されることになりました。
「入学お祝いワクチン」(このフレーズで煽った過去に心を痛める保守系議員もいることでしょう)というおススメが届く前に、新中学1年以上の女のお子様やお孫様をお持ちの方、お知り合いの方には、本書を実際に読まれることをお勧めします。
HPVワクチン推進派は「積極勧奨中止後にできた9価(9種類のHPVに効く)ワクチンは奪い合いになる」と煽っていますが、飛びつく必要はないことが納得できるはずです。HPV(ヒトパピローマウイルス)への未知の恐怖が薄れていく一方で、ワクチンへの疑問は増すことでしょう。
また、国会会議録検索システムで積極的に情報を得られることも可能です。
https://kokkai.ndl.go.jp/#/?back
当時熱心に追及していた山谷えり子参議院議員、はたともこ参議院議員、福島みずほ参議院議員らと、HPVや子宮頸がんといったキーワードを組み合わせて検索すれば、次のような情報が得られます。
平成25年(2013年)3月28日 第183回国会参議院厚生労働委員会
「サーバリックスが前がん状態を減らしたデータはあるということですが、本物の子宮頸がんを減らしたという実績はあるんでしょうか」
「前がん状態についてまでは減らすということですが、御指摘のように、最終的に子宮頸がんを減らしたというエビデンスについてはございません」
以下は配信でも話した内容です。
【謝らない、反省しない】
MMRワクチンの副反応で重度の障害を負った女児が1993年に受け取った厚生大臣の書状
お見舞いのことば
〇〇殿には予防接種を受けたことにより不幸にも障害の状態となられましたこれは社会防衛のための尊い犠牲であり誠にお気の毒にたえません ここに予防接種法により生涯年金をお届けしてお見舞い申し上げます。
【予防接種推進の世界的流れとおなじみの連中】
WHOが1974年から「予防接種拡大計画」を継続。コスパの高い保健プログラムとしてユニセフと協同で途上国のこどもにワクチンを提供。ジフテリア、麻しん、百日せき、破傷風、ポリオ、結核の接種率は同計画の当初5%から今日では80%に達したとされる。1980年レーガン大統領誕生が巨大製薬会社の急成長の根本的要因とされる。2000年ダボス会議で「GAVIアライアンス」(ワクチンと予防接種のための世界同盟)が発足。途上国とドナー国政府とWHO、ユニセフ、世界銀行、ワクチン産業界(GSK、メルク、サノフィ、ファイザーなど)、ビル&メリンダ・ゲイツ財団が参加。最大のミッションは資金調達で2006年からワクチン債が国際市場で発行される。日本は大和証券が窓口。
【阪神・淡路大震災での妙な出来事】
大震災の1週間後国立予防衛生研究所(現・国立感染症研究所)の山崎修道所長(当時)率いる調査団が被災地でインフルエンザ予防にはワクチンが有効だとする見解を発表。これを受けて兵庫県と神戸市が高齢者への無料接種を実施。接種者は2600人程度にとどまった。筆者のインタビューに兵庫県環境保健部の幹部は「東京高裁の判決や法改正で有効性や安全性にクエスチョンマークがつけられたばかりのワクチンを被災したお年寄りに打て、だなんて。予研という最高権威に有効だと念を押されたら『積極的に対応します』としか言えない」
【命のコストパフォーマンス】
予防接種に流れる根底の思想への洞察が深い。
その思想には「人々の幸福の合計が最大になるように努力する」という功利主義(体系化したのはジェレミー・ベンサム)や「生きるに値する人間と値しない人間とを区別する際に、伝統的な西洋倫理学の人格理論を適用しようとする」パーソン論(ピーター・シンガー)があると指摘している。